出動手当5000円欲しさに放火した30歳消防団員の愚

2019年11月26日 16時24分

 一時でも火消しを名乗ったとは…。鹿児島県警は奄美大島の空き家に火を付けた現住建造物等放火などの疑いで、同県の建設作業員松元裕太容疑者(30)を逮捕した。松元容疑者は地元の消防団に所属しており、自ら火を付けて119番通報し、何食わぬ顔で出動していたというのだ。

 事件が起きたのは昨年7月19日午前2時ごろ。木造平屋から火の手が上がり、敷地内の3棟が全焼したほか、周辺の住宅など8棟や軽自動車1台が燃える大火災が起きた。

 この2日前にも周辺の空き家で7棟が焼ける火災が発生しており、関連を調べていたところ、松元容疑者が関与をほのめかし、今月25日に逮捕となった。同容疑者は犯行動機について「出動手当が欲しかった」と1回5000円の手当が目的だったという。

 元東京消防庁消防官で防災アナリストの金子富夫氏は「プロの消防職員にはほとんどいないが、東京、地方を問わず、消防団員の放火事案は絶えない」と指摘する。

 消防職員は常勤の地方公務員なのに対し、消防団員は普段、別の仕事をしながら、災害等が起きた際に出動する非常勤特別職の地方公務員。報酬は市町村によって異なり、一般的には年額10万円前後の報酬のほか、1回の出動につき5000円前後の手当が出る。

「消防団員の手当では食べていけないが、訓練や祭りでも手当が出るので、それ目当てのバイト感覚のもいれば、多いのは消防オタク。火事場を見たいとか、消防車の音が好きで、自分で放火してしまうのが年に数件は起きる」(同)

 少子高齢化で、消防団員のなり手は減少する一方。門戸が緩いために“問題団員”が出てきてしまうという。

「1年に1回くらい、消防団員の素行をチェックすることが必要です。放火は死刑もある重罪で、知っていれば、とてもできない。団員への教育も甘かったと思います」(同)

 現住建造物等放火の法定刑は死刑または無期もしくは5年以上の懲役。5000円の手当欲しさに及んだ愚挙の代償は高くつく。