男子テニスの元世界ランキング1位で4大大会通算7勝のジョン・マッケンロー氏(62)が、うつ状態を告白して全仏オープンを棄権した大坂なおみ(23=日清食品)の引退を危惧している。

 大坂は全仏オープン開幕前にSNSで会見拒否を宣言、1回戦を勝利した後、実行に移した。罰金(1万5000ドル=約165万円)を科され、主催者側から大会からの追放や他の4大大会出場停止の可能性まで通告された。

 するとSNSで〝反論〟を投稿したが、一転して棄権を表明。うつ状態であることも告白していた。現在は米ロサンゼルスの自宅で過ごしているとされる。

 そんな中、1970年代後半から80年代にかけて大活躍したマッケンロー氏はポッドキャスト番組「ホールディングコート」で大坂について言及した。「なおみが最初にしたことは、権力者たちに(会見のあり方などを)考えさせるものだと思っていたが、彼らは強力で威圧的なもので対抗しなければならないと考えたようだ。それに彼女が自分の気持ちをさらけ出したことで、外部の人間である我々が知ることができた。このことはさらに注目を集めることになると思う」

 ただ主催者サイドが、会見拒否を続けることで4大大会の出場停止をちらつかせたのはやり過ぎだという。「権力者たちが、彼女に出場停止などで脅す必要はなかった。それはスポーツにとって大きなマイナスになる」。その先に同氏が懸念したのは、大坂が自身と同時期に活躍した4大大会通算11勝のビヨン・ボルグ氏(スウェーデン)のように突然コートを去ってしまうことだ。ボルグ氏は26歳だった1983年に燃え尽き症候群のようになって突如として引退を表明した。

 マッケンロー氏は「なおみに何が起こるかは誰にもわからないが、このままテニスを続けられなくなる危険性もある。ビヨン・ボルグのことはテニス界に起きた最も大きな出来事だったが、彼女も(当時のボルグ氏と)似たようなことを感じているのではないか」と大坂の今後を案じた。