大相撲名古屋場所(7月9日初日、愛知県体育館)の新番付が発表された26日、横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)は愛知・長久手市の部屋宿舎から少し離れた稽古場で朝稽古を行った。多くの部屋では番付発表当日は力士は体を休め、翌日から稽古を再開するのが通例。ましてや時の横綱が稽古場で体を動かすのは極めて珍しい光景だ。

 初優勝から3連覇を狙った5月場所は3月場所で痛めた左上腕と左胸のケガの影響で途中休場。6月は慎重に調整を進め、中旬以降は関取を相手に稽古ができるまでに回復した。あえて休養しなかった横綱の行動からは、2週間後の本番に向けて少しでも状態を上げておきたい意識が見て取れる。先場所は横綱として最低限の務めとなる15日間を全うすることができなかっただけに、今場所にかける本気度は相当に高い。

 稽古後は地元の住民や幼稚園児らとの交流会に参加した。稀勢の里は「名古屋に入る前には関取と稽古することもできた。あとは精度を上げて、また初日を迎えられるように準備をするだけ」と出場への強い意欲を口にした。今度こそ完全復活した姿を見せられるか。