大相撲夏場所(14日初日、東京・両国国技館)で3連覇を目指す横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が7日、埼玉・草加市の追手風部屋で出稽古した。幕内大栄翔(23)を相手に15番取って14勝1敗。前日6日の九重部屋に続く2日連続での出稽古に「いいんじゃないですか。痛み? ないですよ。(患部の状態は)昨日より今日のほうがいいと思うし、これから」と話した。

 とはいえ、1週間後に迫った本番に向けて不安も感じさせた。春場所で痛めた左上腕部から左胸部にかけては何重にもテーピングが施されていた。稽古中には厳しい表情で舌打ちしたり、右手で左胸付近を押さえるしぐさも見せた。最大の武器である左のおっつけは見せずじまい。大栄翔に土俵際まで押し込まれる場面も何度かあったように、横綱大関クラスを相手にどこまでやれるのかは未知数だ。

 稽古を視察した大相撲解説者の舞の海秀平氏(49=元小結)は「以前のような左からの強烈なおっつけを使っていなかった。左の下手だけに頼ると苦しくなる。右上手を軸にして攻める相撲に変わっていくのかな。完治するようなケガではない。悪化させないようにしながら、自分の相撲をどう変えていくかがカギになる」と指摘した。

 6日には都内で横綱昇進披露宴が開かれ、約1500人の招待客の前で夏場所での活躍を誓った。8日からは二所ノ関一門の連合稽古に参加する。稀勢の里は「できれば上位陣とやりたい。様子を見て。焦らずにやるだけ」。これまで経験したことがない手探りの“急仕上げ”で、場所本番までにどこまで状態を上げられるのか。