大相撲春場所千秋楽(26日、大阪府立体育会館)、1敗の大関照ノ富士(25=伊勢ヶ浜)は2敗で手負いの横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)に本割、優勝決定戦と連敗し、土壇場で2度目の優勝を逃した。

 本人は「まあ、しようがない。来場所頑張るだけ」と淡々と話したものの、優勝なら来場所綱取りとなるはずがまさかの逆転V逸。しかも、前日14日目の関脇琴奨菊(33=佐渡ヶ嶽)との一番では、立ち合いの変化であっさり勝利。大関らしからぬ相撲に加え、先場所大関から陥落した琴奨菊はこの黒星で6敗となり千秋楽を待たずして大関復帰が消滅したこともあって、照ノ富士には大ブーイングが飛んだ。日本相撲協会の幹部もオカンムリで、本割の取組前から立場はすっかり“ヒール”となっていた。

 相撲協会の八角理事長(53=元横綱北勝海)は「(稀勢の里がケガをしているぶん)やりづらかったと思うが、よくやった」と場所を盛り上げた大関をねぎらったが、初場所で4勝11敗の大敗を喫してのカド番だっただけに、本来なら優勝で完全復活をアピールしたかったところ。「やっと終わった」と引き揚げた照ノ富士は、次の夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)が横綱候補としての正念場となりそうだ。