大相撲九州場所(13日初日、福岡国際センター)の新番付が発表された31日、大関豪栄道(30=境川)が福岡・大野城市の部屋宿舎で会見し、自身初の綱取りに向けて意気込みを語った。9月の秋場所は日本出身者では20年ぶりの全勝で初優勝。その後は巡業の合間に祝賀パレードや後援者らとの宴席などが相次ぎ、ややバテ気味の様子。2週間後の本番に向けて、体調面がカギになりそうだ。

 豪栄道は会見で「誰もが経験できることじゃないので幸せなこと。一番一番に集中して、気合を入れて負けないように相撲を取りたい」と意気込みを口にした。くしくも、師匠の境川親方(54=元小結両国)が九州場所の担当部長という巡り合わせ。和製大関は「師匠の目の前で賜杯を抱く? そういうふうになれば最高です」と言葉に力を込めた。

 その一方で、10月の秋巡業を終えて「疲れましたね…」と思わず本音をポツリ。ただでさえ、約1か月の間に関東から東海、北陸、近畿、四国、中国地方を回る超過密スケジュール。その合間を縫うような形で、母校の埼玉栄高や地元の大阪・寝屋川市で初優勝の祝賀パレードに参加した。夜には後援者や知人らとの宴席に顔を出す機会も増加したという。

 豪栄道に近い関係者は「巡業中には、いろいろなところから誘いがあって、夜も忙しかったそうだ。いつもの巡業以上に疲れたのでは」と証言。もちろん、張り詰めた緊張感の本場所が終われば、息抜きの時間は必要。お世話になった人たちに対する恩返しの意味合いもあるだろう。ただ過去の綱取りでは、多忙すぎて調子を崩した力士が大勢いることも確かだ。

「特に初優勝した力士にはありがち。なにせ初めてのことだから、周りの人たちも放っておいてくれない」(角界関係者)との指摘もある。この日の会見後には、そのまま福岡のラジオ番組に生出演。今後は維持員会や九州場所のPRイベント、前夜祭などにも出席する予定で、忙しい日々は続く。場所本番までに残された時間は、それほど多くない。

 豪栄道は「しっかり稽古をして、しっかり体のケアもして場所に臨みたい。体調面で注意すること? 疲れをためないように、しっかり寝ることですね」と話したが…。過密日程との闘いは、初V達成直後から懸念されてきた。ここから2週間で万全の体調を整えられるかが、綱取りの成否のカギを握ることになりそうだ。