大相撲名古屋場所(12日初日、愛知県体育館)に向けて、大関稀勢の里(29=田子ノ浦)が6日、愛知・長久手市の宿舎で稽古を行った。出稽古に来た横綱白鵬(30=宮城野)を相手に15番取り、7勝8敗と互角に渡り合ったが、同じく出稽古に来ていた伊勢ヶ浜親方(55=元横綱旭富士)が和製大関に対してまさかの“ダメ出し”。いったい、何があったのか。

 稀勢の里が“ダメ出し”されたのは、白鵬と15番の三番稽古を終えた後のことだ。伊勢ヶ浜親方が稀勢の里に「(これ以上は)やらないの?」と声を掛けると、和製大関は「ちょっと、足が…」。白鵬との稽古でふくらはぎに張りが出たことを説明したが、角界内でも厳しい指導で知られる伊勢ヶ浜親方の目には「消極的」と映ったようだ。

 その後に親方は自ら稀勢の里に歩み寄ると、強い口調で指導。“説教”は10分近くにも及び、稀勢の里は神妙な表情で何度もうなずいた。伊勢ヶ浜親方が新大関照ノ富士(23)ら部屋の関取衆を引き連れてきた最大の目的は、稀勢の里と稽古をさせるためだ。白鵬との稽古は通常より体力の消耗度が大きいとはいえ、伊勢ヶ浜部屋で15番は“準備運動”のレベル。しかも、かつて稀勢の里が角界屈指の番数をこなしていた姿を知るだけに、なおさら物足りなく感じたことだろう。

 伊勢ヶ浜親方は指導の中身について「ここで話すことじゃない」と明かさなかったが「(稽古が)足りないね。時間が短い。関取衆はもっと早くから始めないとダメだ」とチクリ。一方で、稀勢の里は「(伊勢ヶ浜親方は)横綱まで上がった人だから。こんな稽古では、物足りないんじゃないですかね」と自嘲気味に話すしかなかった。

 この日、なでしこジャパンがカナダ女子W杯決勝で米国に大敗。世界の頂点に立つことはできなかった。賜杯を逃し続けている稀勢の里は「なでしこの気持ち、分かりますよ…」とポツリ。つい3日前、29歳の誕生日には「(照ノ富士に)負けじとやらなくてはいけない。ゆっくりしていられない」と決意を新たにしていたはずだが…。これで、大丈夫なのか。