大相撲夏場所(5月10日初日、東京・両国国技館)の新番付が発表された27日、関脇照ノ富士(23)が東京・江東区の伊勢ヶ浜部屋で会見し「平成生まれ初の新大関を目指す」と宣言した。新関脇で臨んだ春場所は13勝の好成績で旋風を起こした。先場所と同等以上の活躍なら、三役2場所目で大関昇進の可能性も十分。それどころか、角界内では早くも「横綱候補」の最右翼として名前が挙がっている。

 照ノ富士は会見で「目標は今年中に大関になること。高安関(25=田子ノ浦)が平成生まれで初めての新三役と言われた。平成生まれの新大関はいないので、それを目指して頑張る」と力を込めた。3月の春場所は13勝をマーク。大関取りの目安は「三役(関脇・小結)で3場所合計33勝」だが、先場所と同等以上の成績なら大関昇進も現実味を帯びてくる。

 師匠で審判部長を務める伊勢ヶ浜親方(54=元横綱旭富士)も「(今場所後の大関昇進は)大勝ちすれば可能性はゼロではない」との見解を示した。今場所かどうかは別にしても、角界内では照ノ富士の大関昇進は「時間の問題」との見方が支配的。それどころか、現在の大関陣を差し置いて、早くも次の「横綱候補」の最右翼として名前が挙がっているほどだ。

 横綱白鵬(30=宮城野)の師匠の宮城野親方(57=元幕内竹葉山)もそんな一人で「今の大関では、横綱に上がるのは厳しいだろう。(横綱として)次に出てくるのは照ノ富士」と断言する。春場所では勝ち星だけではなく、いまや「史上最強横綱」となった白鵬をも撃破。十分すぎるほどのインパクトを残した一方で、3人の大関は全員10勝未満の“総崩れ”となった。

 かつて角界待望の「和製横綱候補」と目された稀勢の里(28=田子ノ浦)でさえも9勝止まりの体たらく。琴奨菊(31=佐渡ヶ嶽)と豪栄道(29=境川)に至っては、8勝と勝ち越すのがやっとだった。大関陣がふがいないぶんだけ、照ノ富士の躍進が余計に際立って見えるのは確かだ。

 新たな怪物が一気に番付を抜き去るのか、現大関陣が意地を見せるのか。いずれにせよ、今後の土俵の勢力図を占う場所となりそうだ。