これは「大甘昇進」なのか。豪栄道が琴奨菊を寄り切り、大関昇進を確実にした。過去3場所は春場所12勝、夏場所8勝、今場所12勝。大関昇進の目安とされる「3場所合計33勝」には1勝届かないものの、白鵬を2場所連続で撃破したことや関脇連続14場所(単独1位)と、安定して三役を務めている点などが考慮された。


 北の湖理事長は「先場所は8勝で足りないが、春場所と名古屋場所で12勝は評価できる」。審判部長の伊勢ヶ浜親方(54=元横綱旭富士)も「(豪栄道は)最後に勝ったからね。琴奨菊に当たり負けしないで、内容も前に出る時は出ていた」と高く評価した。


 とはいえ、2場所連続の2桁勝利が一度もなく、安定感に欠けるのも確か。実際、場所前には大関取りが話題にすら上らなかっただけに、異例の昇進と言える。平成以降で目安の33勝を下回っての昇進は32勝の千代大海(現佐ノ山親方)と稀勢の里だけ。千代大海は直前場所で優勝し、稀勢の里は3場所連続2桁勝利をマークしている。


 今後は30日の番付編成会議と臨時理事会での承認を経て、正式に大関昇進が決定する。豪栄道は「まだ、あまり実感は湧かない。なかなか思い通りにいかないこともあったが、我慢が実を結んだと思う。支えてくれた人に少しでも恩返しできてよかった」。


「大甘昇進」と言われないためにも、新大関として迎える秋場所(9月14日初日、東京・両国国技館)では10勝以上の好成績が求められる。