大相撲九州場所(10日初日、福岡国際センター)で注目の若手力士の一人が、新小結の朝乃山(25=高砂)だ。5月の夏場所で初優勝。来日中だったドナルド・トランプ米大統領(73)から表彰され、一躍「時の人」となった。大関貴景勝(23=千賀ノ浦)、関脇御嶽海(26=出羽海)ら突き押し相撲の若手が台頭する中で四つ相撲の本格派としても期待が集まる。

 新小結で迎える今場所は「看板力士になる」という目標を実現するための第一歩。「とりあえず勝ち越し。それから2桁を目指して頑張りたい」と意気込む。今場所の成績次第では年間最多勝の可能性もある。御嶽海と小結阿炎(25=錣山)が45勝でトップに並び、朝乃山が1差の44勝。大関豪栄道(33=境川)が43勝、小結遠藤(29=追手風)が42勝で追う。

 朝乃山は「僕は狙っていないですよ」と言いつつも「御嶽海、阿炎、僕…。差が詰まっているから、どうなるか分からないですね」とニヤリ。ライバルの勝利数も頭にインプット済みだ。今年は横綱大関陣の休場が多かったとはいえ、関脇以下での最多勝は大鵬と貴花田(後の貴乃花)の2人だけ(年6場所制以降)。大きな“勲章”であることに変わりはない。

 初日は結びで横綱鶴竜(34=陸奥)と対戦する。9月の秋場所は寄り切って金星を獲得した。朝乃山は「本音を言えば勝ちたいけど、勝ちたい気持ちが強すぎると硬くなる。体を生かして前に出る相撲をイメージしていきたい」。再び横綱を撃破し、勢いに乗りたいところだ。