まさかのコラボだ。大相撲春場所(3月10日初日、大阪府立体育会館)を控えた26日、田子ノ浦部屋が兵庫・尼崎市の園田競馬場内の宿舎で朝稽古を行った。師匠の田子ノ浦親方(42=元幕内隆の鶴)が兵庫県競馬組合出身で現在はJRA所属の小牧太騎手(51)と親交があり、同騎手の紹介で今年から宿舎を移転。第4投票所の1階は稽古場、2階はちゃんこ場や若い衆の寝泊まりなどで使用している。

 この日は競馬開催日で午前10時の開門と同時に稽古場に見物客が殺到。同競馬場の午前11時の集計では、通常の開催日に比べて来場者が約500人も増えた。それにしても、天井にオッズやレースの模様を映し出すテレビモニター、壁際に発券機がズラリと並ぶ中に相撲の土俵が存在するのは普段ならあり得ない光景。実にシュールだ。

 大関高安(28)は「なかなか経験できることじゃない。気持ちよく相撲を取っていきたい」と“異空間”での稽古を前向きにとらえた。田子ノ浦親方は力士に馬場を走らせることも計画。「開催がない日にトレーニングの一環で走らせてみようかと。砂浜を走るより大変らしい。1キロ(1周1051メートル)ぐらいあるから、途中で倒れるかもしれない」と明かした。

 また、高安の29歳の誕生日にあたる28日の園田競馬第5レースは「祝 大関高安関お誕生日記念」として行われることも決定。1月の初場所で現役を引退した元横綱稀勢の里の荒磯親方(32)によるトークショーや、現役の騎手や調教師らと力士が交流するプランもある。荒磯親方は「なかなか相撲に触れ合うことがない人に、少しでも興味を持ってもらえたら」。角界では前例がない斬新な試みとなりそうだ。