【ウィスコンシン州エリン発】「全米オープン」最終日(18日=日本時間19日、エリンヒルズGC=パー72)、6打差を追ってスタートした松山英樹(25=LEXUS)は66とスコアを伸ばしたものの猛追も及ばず、12アンダーの2位で悲願のメジャー初制覇はならなかった。それでも、昨年の「全米プロ」(4位)を上回るメジャー自己最高位でのフィニッシュ。日本人のメジャー2位は青木功(1980年全米OP)以来。今後のメジャーに向け、さらに期待が高まった。優勝はブルックス・ケプカ(27=米国)で16アンダー。

 2日目の「65」を再現するかのように松山が序盤からバーディーを量産した。608ヤードの1番パー5では同組の飛ばし屋J・B・ホームズ(35=米国)とともに2オンに成功。12メートルのイーグルパットをしっかり寄せて、バーディー発進を決めた。

 2番パー4は2メートルのチャンスを逃したものの、4番パー4ではカラー12メートルをパターで放り込んでバーディー。続く5番パー4は残り150ヤードの2打目を30センチにつけ“お先”のバーディーでスコアを伸ばした。

 6番パー3をボギーとし、前半を2アンダーで折り返すと、後半はさらに加速する。11番パー4では手前から4メートルを沈めてバーディー。右手を軽く上げ、大歓声に応えた。

 今大会は世界ランク上位3人が予選で姿を消す波乱の展開。地元のファンが期待する米国人プレーヤーに立ちはだかる強力なライバルとして、コース上では世界ランク最上位(4位)の松山にはいつも以上の注目が集まった。

 12番パー4で連続バーディーを奪い、2桁の10アンダーとすると、14番パー5では残り40ヤードの3打目を50センチにつけるスーパーショット。バックスピンで急停止したボールが意思を持ったかのようにカップに向かうと、再び大歓声が沸き起こった。

 この日6つ目のバーディーで11アンダー。この時点で首位との差はついに2打にまで縮まった。続く15番をボギーとし万事休すかと思われたが、松山は驚異の粘り強さを見せる。

 16番パー3で3メートルのバーディーパットを沈めて、すぐに挽回。最終18番パー5では残り300ヤードの2打目がグリーン右にそれ、「あ~っ」と天を見上げた。それでも、第3打を1メートルにつけてバーディー締め。首位に1打差の12アンダーでフィニッシュし、クラブハウスリーダーとして後続を待つ形になったが、首位のケプカはスコアを落とさなかった。

 昨年のこの時期は絶不調。「全米オープン」「全英オープン」と立て続けに予選落ちを喫した。それでも、「全米プロ」で4位と復調すると、その後は日米を股に掛ける大活躍。世界のトップクラスに飛躍を遂げた。

 今季はその好不調の波が数か月早く訪れた格好。昨年末のような絶好調の松山であれば、メジャーでの勝利も決して難しくはないはず。男子では日本人初となるメジャー制覇へ、7月の「全英オープン」、8月の「全米プロ」はますます目が離せなくなりそうだ。