国内男子メジャー「日本オープン」初日(13日、埼玉・狭山GC=パー70)、松山英樹(24=LEXUS)は2バーディー、3ボギーの71で、1オーバーの15位発進となった。同組の石川遼(25=CASIO)、アダム・スコット(36=オーストラリア)が大きく出遅れたのとは対照的に、首位のH・W・リュー(35=韓国)とは5打差。注目のペアリングの面目を保ったが、練習日に見せた多くのクラブテストが怪物の踏ん張りを支えた形だ。

「ビックリして、今日はずっと緊張していました」。初日から実現した豪華ペアリングは、松山の口からこんな冗談が飛び出すほどの大ギャラリーを集めた。主催者発表で昨年の大会初日の3倍に相当する1万838人。記録が残る1991年以降、大会初日の1万人突破は2010年の「中日クラウンズ」以来で、平日としては初の快挙となった。

 しかし、フェアウエーが狭く、ラフからはグリーンを狙えない難セッティングに揃って大苦戦。石川、スコットが序盤でスコアを落とすと、なんとかパーセーブを続けてきた松山も7番でボギーが先行した。

 米ツアー終盤戦からショットの調子が上がらなかったが、唯一の光明は「最近、飛距離が出ていなかったので、飛んでいたのは良かった」。9番パー5ではその飛距離を生かし、2打目をグリーン奥のラフまで運んで初バーディー。一進一退のプレーながら首位とは5打差にとどまり、第一人者として最低限のプレーを見せた。

 数少ない国内ツアー参戦に合わせ、契約メーカーは松山に多くのクラブテストを依頼。メーカーのスタッフは「日本の方が素早く対応できるので、ここぞとばかりに試してもらった。本人もクラブを試すのは好きですからね」。火曜日のプロアマでは、キャディーバッグに入り切らないクラブを関係者が担いで歩いたほどだった。

 それでも、最終的にバッグに入ったのはこれまで愛用してきたクラブ。飛距離は新しい1Wのほうが上回っているが「このコースセッティングですから、信頼性を優先したんでしょう」(同スタッフ)。初日はフェアウエーキープが3回にとどまるなど思惑通りにはいかなかったが、アプローチとパットでしのぎ切った。

「いいプレーができなくて申し訳ない気持ちはある。大崩れせずに済んだのは良かったが、見ている人にとってはどうだったか分からない」と語った松山だが、今季はこれが日本ツアー初参戦。日本でプレーする機会は限られるだけに、プレー以外でもファンサービスに熱が入った。ホールアウト後、パッティング練習を終えると、20分以上にわたってギャラリーのサインに応じた。

 まだ初日とはいえ、石川とスコットは大きく出遅れる苦しい展開。1週間前のペアリング発表から最終日の優勝争いまで“元サヤ効果”を見せた松山が大会の主役を張り続ける。