ゴルフの国内女子メジャー「日本女子オープン」(9月29日~10月2日)で史上初となるアマチュアでメジャーVの快挙を達成した畑岡奈紗(17=茨城・ルネサンス高)が10日、プロ転向を正式に発表した。東京・六本木ヒルズで行われた会見には多数のメディアが集結。堂々の受け答えで大物ぶりをアピールする姿に“師匠”の中嶋常幸(61)も目を細めた。ゴルフ界のレジェンドが語る畑岡の魅力とは――。

「今日からプロゴルファーとして活動する畑岡奈紗です。よろしくお願いします」と記念すべきプロ第一声を発した畑岡は「東京五輪で金メダルを獲得することと(海外)メジャーで優勝すること」と将来の目標を公言。さらに「2年以内の米ツアーV。5年以内に海外メジャーで勝つこと」を近い目標として挙げた。

 畑岡は中嶋が主宰する「ヒルズゴルフ・トミーアカデミー」に中学3年から所属して、腕を磨いた。同アカデミーはこれまでに計95人を選抜。自ら審査に立ち会って合否を判断する中嶋は畑岡について「愛嬌があって身体能力が高そう」という印象に加え「言われたことに対して、人の目を見てやろうとする」と“目力”の強さを強調した。

 人と話をする時に目を見るのは基本中の基本。だが、中嶋に言わせると「コーチが話をしている時に集中力がない子もいる」のが今どきの若者の現状だ。
 アカデミーではゴルフの技能だけでなく、身体能力やマナーも含めた判断で合否を決める。その中で中嶋は、伸びるジュニアの“物差し”を持っている。

「乾いたスポンジが水を吸収するように、意見を取り込むことのできる子。人の話を、目を見て聞くことができて『今、大切な話をしてもらっているんだ』とわかっている子は成長のスピードが違う」

 畑岡はこれを満たすだけでなく「合宿の後はリポートを提出させるんだけど、言われた(指導を受けた)ことをあれだけそしゃくしている子は、他にいない」(中嶋)。指導されたことを理解して、しっかりと自分のものにしている完成度の高さを評価した。

 父の仁一さん(51)、母の博美さん(46)も出席したこの日の会見は六本木ヒルズで行われた。これは「ヒルズゴルフ・トミーアカデミー」が森ビルの先代会長、故森稔氏と中嶋が「世界で活動するジュニアゴルファーを育てたい」との思いで設立したため。先週、畑岡からプロ転向の決断を報告された中嶋が「じゃあ、会見はヒルズでやればいい」と提案したことが理由だった。「アーノルド・パーマーのように、誰からも愛されるゴルファーになってほしい」とのエールを受けた畑岡は「応援してくれる人たちへの感謝の気持ちを忘れずにプレーしたい」と語った。目力だけでなく、すでにプロとして何が大切かも心得ているようだ。