ゴルフ国内男子ツアー「ISPSハンダグローバルカップ」最終日(28日、山梨・ヴィンテージGC=パー71)、通算14アンダーで並んだ武藤俊憲(37=赤城CC)がアンジェロ・キュー(36=フィリピン)との2ホールのプレーオフの末、今季初Vを挙げた。

 首位タイからスタートした最終ラウンドは6バーディー、3ボギーの68。64で回ったキューに追いつかれてのプレーオフでは、ティーショットを2ホールとも左の林に曲げるなどのドタバタだったが、何とかツアー通算6勝目を飾った。

 愛娘の何げないゲキが優勝の原動力となった。前回のツアーVは3年前の「関西オープン」。当時の記憶があいまいな6歳の次女・亜耶ちゃんは、輝いている父親の姿を知らない。そのため、昨年あたりからは武藤がトーナメントに出かける際に「行ってらっしゃい」だけではなく「優勝してね」と付け加えるようになったという。

 昨年5月には左足首靱帯断裂のアクシデントに見舞われた。「もうゴルフはできないかも」とも思ったが、幸い手術は回避して3か月で復帰。愛娘の期待に応えたい一心だった。

 今大会はボールを「プロV1x」から「V1」(いずれもタイトリスト)の2年前のモデルに戻したのも功を奏した。

「手応えが良くても、結果にズレがあるんです。数十センチのレベルだけど、それでカラーに止まってバーディーチャンスか、ラフに転がり落ちてボギーを叩いてしまうかの違いになってくる」

 繊細な感覚を呼び起こし、家族とともにつかんだ3年ぶりの勝利。「この調子で賞金ランク上位に割り込んでいきたい」とさらに前を向いた。