男子ゴルフのメジャー今季最終戦「全米プロ選手権」(ケンタッキー州バルハラGC)が7日に開幕する。6月に米ツアーで初優勝を果たした松山英樹(22=LEXUS)に注目が集まるなか、石川遼(22=CASIO)も忘れてはならない。北海道での合宿を経て先月「長嶋茂雄招待セガサミーカップ」で国内ツアー2年ぶりのV。続く「全英オープン」では予選落ちしたものの、手応えを口にして渡米した。石川は米ツアーで戦えるのか? 父でコーチの勝美氏(57)を直撃した。

 ――合宿の成果は

 勝美氏:合宿の前と後でどれだけ変わったかと聞かれれば、あんまり変わっていないですよ。「セガサミー」はパットが入った結果、勝てたわけだし、ティーショットはメジャーに通用するところまでは行っていないと思っています。

 ――国内を主戦場にしていた2年前までと比べると、飛距離も伸びて進化しているように見える

 勝美氏:スイングがシンプルになったとは感じています。それで飛ばすことを意識しなくても飛距離が出ている。腰痛対策でスイングを変えることになったのが、災い転じてということになった。もちろん、そこには本人の大変な努力があったわけですが。

 ――それでも通用しないとは…厳しい評価だ

 勝美氏:米ツアーではパワーのある方ではないし、すべてのホールで1Wを握ることができるぐらいの精度が必要。80%の力でコントロールしながら300ヤードを打つとか、5Iで190~220ヤードを打ち分けるように1Wで290~320ヤードを打ち分けるようにならないと。

 ――石川自身は「優勝スコアを10アンダーと想定して、スコアを意識したい」とかなり自信を持って渡米した

 勝美氏:選手が自信を持って臨むのは当然でしょう。サッカーW杯で「優勝を目指す」と言って、1次リーグで敗退した日本代表の本田圭佑選手(28=ACミラン)たちのことを「身の程知らず」なんて批判する人がいるけど、それは違うと思う。傲慢と思われようが、選手は自分の意見を曲げてはダメだし、優勝するつもりでいなければ、苦しい練習なんてやっていられない。みんな勝てると思ってやっているんです。

 ――周囲の予想や分析とは別物ということか

 勝美氏:日本人では松山(英樹)くんしか通用しない。遼とは総合力、特にフェアウエーキープとパッティングに差があります。他の選手は普段、米国でプレーしていないわけで、簡単ではないでしょう。多くの人と同じように私もこう予想するけど、本人たちはそう思ってはいないはずです。

 ――松山とは今後も比較されていく

 勝美氏:(松山のように)米ツアーでいきなり勝つ選手というのは特別ですよ。普通はコツコツ行くしかない。今季、シードは取れたけど、優勝しそうになった試合はなかった。来季、それが2つ、3つあれば、その次のシーズンは、ということになるんじゃないですか。