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前打者敬遠して「清宮と勝負」舞台裏では賛否両論


9回表二死、敬遠される2番・雪山(右)をネクストバッターボックスから見つめる清宮

 第46回RKK熊本招待高校野球大会は14日、藤崎台球場で3試合が行われ、招待校の早実(東京)は秀岳館(熊本)との第1試合に1―5で敗れた。前日13日の八代(熊本)戦で高校通算93号の場外弾を放った早実の怪物スラッガー・清宮幸太郎内野手(3年)は3打数1安打2四球に終わったが、9回の最終打席に“事件”が起きた。秀岳館が二死から2番・雪山を敬遠し、あえて3番・清宮と勝負。6000人の観客を沸かせ、エース田浦に経験を積ませる鍛治舎監督の“粋な計らい”だが、舞台裏では賛否両論が巻き起こった。

 9回二死、走者なし。2番打者の雪山が打席に入ると、秀岳館ベンチから川端がマウンドのエース田浦へ伝令に向かった。「勝負したいんだったら、回せよ」。清宮と対戦するため、捕手を立たせた明らかな敬遠策。田浦がストライクゾーンを大きく外れたボール球を投じるたび、スタンドからは大きな拍手が湧き起こった。そして、二死一塁。戸惑いながら打席に入った清宮は、4球目で一塁ゴロに倒れた。

 通常ならピンチの場面で強打者を避け、打ち取れる確率の高い次の打者と勝負するための策だが、今回は意味合いが違った。秀岳館・鍛治舎監督は「甲子園で当たるかもしれない相手。(先発の)川端は勝負したが、田浦はまだ(対戦)してなかった。真剣勝負だからどうかなとも思ったが、(田浦が)試合前から勝負したいと言っていた。見方はいろいろあると思います。相手の監督には微妙かもしれないが、パフォーマンスでやったことではない。ファンの方に批判されるかもしれないということもわかっている。招待試合なので。甲子園ではありえない」と意図を明かした。

 一方の試合後の早実側にはピリピリムードが漂った。選手への配慮のため、テレビカメラは一切入室NG。そんななか、清宮は敬遠について「いろいろと感じる部分はありました」と悔しさを押し殺して語り、すぐに「たくさんの方に朝早くから来ていただいて、勝ちという形では返せなかったけど、温かい声援は感じました」と続けた。早実・和泉監督も敬遠に関しては「参りましたね」と一言触れるのみ。敬遠された雪山が悔し泣きしながら球場を後にするなど、観客の盛り上がりとは裏腹に後味の悪さが残った。

 こうした状況に熊本の高野連関係者も複雑な表情を浮かべる。「お客さんは盛り上がっていた。賛否両論はあるでしょうが、それ以上に県民の方にとっては震災後の希望になった。ありがたいこと」としながらも「どちらの気持ちもわかる。どちらかに肩入れすることはできないが、早実さんには2年越しで来ていただいたのに、そういう気持ちにさせてしまったというのも事実」と早実側を気遣った。

 観客からも賛否両論の意見が上がった。「メチャクチャ盛り上がりました。清宮くんと田浦くんの勝負は絶対見たかったし、おかしいとは思わない。むしろ、よくぞやってくれた!という感じ」(17歳、女性)と肯定的な意見だけではなく、長年熊本で高校野球を観戦している72歳の男性は「白けちゃったよ。高校野球を見てる人と、清宮くんを見に来た人とでは層が違う。後者は盛り上がるかもしれないが、アマチュアであれはない。プロのオールスターならわかるが、高校球児は見せ物じゃない。選手は何も悪くないのに」と鍛治舎采配に疑問を投げかける声も…。

 注目選手ならでは騒動とはいえ、勝負を避けられた雪山も勝負された清宮も悔しさは残るはず。これをバネに夏につなげるしかない。

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