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上原 こだわりの調整法は「遠投」


 レッドソックスの上原浩治投手(39)が守護神に指名されて1年が過ぎた。その間の活躍はあらためて説明する必要はないだろう。今では相手選手、ファン、そして米メディアもメジャー最高のクローザーと認めている。なぜ、上原はマウンドで常にベストを発揮し続けることができるのか。その秘密は独自の調整にあった。

上原浩治「中継ぎピッチャーズバイブル」

田沢(下)相手にキャッチボールする上原

 米国では遠投のことをロング・トスと呼ぶ。上原は、そのロング・トスを毎日のように行っている。相手は田沢純一投手(28)で、距離を伸ばしたり縮めるのはいつも上原の方だ。試合前の練習で、隣では他の投手陣がキャッチボールをしている中、10分もしないうちに上原だけが50メートル、60メートル、70メートル…外野の奥に立っていたりする。同僚の中継ぎ左腕アンドリュー・ミラー投手もロング・トスをするが、日々のルーティンにはしていない。ミラーは「コージのように毎日はできない。週に2~3回がいいところだろうか。それにボクは(上原と違ってライナー性の)低い弾道のボールを投げることを心掛けている」と話す。

 上原と田沢のキャッチボールは、50メートルだろうが、80メートルだろうが、そのほとんどはノーバウンドで、相手の胸のあたりに落ちてくる。上原の投げるボールは低いところから途中で浮き上がって距離を出す感じで、回転数が多いためか、重力に逆らってなかなか落ちてこない。

 上原は「こっちの投手はあまりやらない。何でやらないのか逆に知りたい」と首をひねる。そう、遠投は上原にとって最も重要な練習メニューのひとつなのだ。

「(遠投では)体全体を使うことしか考えていない。ピッチングと遠投には通じるモノがあるとボクは思っているから。体全体を使うのがピッチング。体全体を使うのが遠投やから。いつも同じような感じでやっていると思いますよ」

 他の投手たちがキャッチボールを10分ほどで終える中、上原と田沢のキャッチボールはまだ折り返し地点を過ぎたあたり、ということも少なくない。なぜなら、彼らはほぼ毎日、遠投を行うからだ。ただし、例外もある。「連投していたら多分、遠投はしないだろうし、そういうのは考えてやっています」と上原は説明する。

 では、いつから遠投がルーティンになったのか。1999年の巨人入団1年目、春季キャンプでブルペンよりも遠投を重視する調整法は大きな話題になった。開幕後もその姿勢を貫いたが、遠投は中6日の登板間で2日ほどだった。2000年以降も大きく変えることはなかった。09年にオリオールズに移籍。1年目は先発投手としてマウンドに上がったが、やはり毎日遠投してはいなかった。上原はこう話す。

「もちろん、先発の時は毎日ではなかったですけど、でも、(投げた)次の日はやらなかったくらいで、それ以外(の日)はやっていたかな? 巨人の時から? うーん、どうやろ。実はボクは(先発の登板間に)ブルペンには入らないタイプで、遠投しかしなかった。ずっとやってきたことやから、今、こういうふうになっていると思うし、いつからか?っていうと、ずっとやっていると思いますよ」

 上原と田沢が行っている日々のキャッチボールは15分から20分ほど。それは他の投手よりも5~10分ほど長い。守護神にとってキャッチボールは重要な下ごしらえ。体全体をほぐして5時間後には訪れるであろう登板に備えている。

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