コロナで死亡も自己責任。国際オリンピック委員会(IOC)が、東京五輪に参加する選手らに求める同意書の無責任体質が、世界中で大きな波紋を呼んでいる。

 米ヤフーは29日、IOCが用意している同意書を入手。これには「新型コロナウイルスや猛暑で死亡した場合も自己責任」という項目が加わっている。ジカ熱が問題となった2016年リオデジャネイロ五輪ですら、感染症や熱の項目はなかったという。

 同メディアによると、もし選手が署名を拒否した場合について質問すると、IOCから直接の回答はなかった。ある選手代表者は「選手は文書上での発言権も、同意書を押し戻す交渉力も、東京で実施されるコロナ対策も何も与えられていない」と指摘。主催者のみならず、選手に対しても絶対的なIOCの姿勢に疑問を呈している。

 同意書を巡っては、世界各地でブーイングだ。すでに世界で最も権威ある医学誌・米医学誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)が「選手に自己責任で参加することを強いながら、選手が直面するさまざまなレベルのリスク評価が不十分」とバッサリ。米「ESPN」やインド「ビジネス・スタンダード」、豪「ウエスタン・オーストラリア」中国「界面」などは「IOCは自己責任の同意書にサインさせる」と大々的に報道した。中国SNS上では「みんな来て来て~、あとはあなたの運次第ってこと?」「これは生死同意書か」「選手の生命を軽視している」とIOCの姿勢を非難する声が寄せられている。

 IOCのトーマス・バッハ会長は27日、オンラインで行われたアスリート委員会主催のフォーラムで「自信を持って東京に来てほしい」訴えたが、どこまでも無責任な貴族軍団の体質が露見したと言えそうだ。