米紙「ニューヨークタイムズ」は2日、間近に迫った東京五輪に従事するボランティアへの待遇に疑問を投げかけた。

 五輪の開催期間中は、さまざまな場面でボランティアが運営の担い手として活躍。東京五輪でも多くのボランティアが携わる予定だが、同紙は「五輪車両の運転、アスリートの通訳、メダルの運搬など、さまざまな任務を行うが、今年の夏に予定通りに東京五輪が開催されれば、約7万8000人のボランティアが新型コロナウイルスの拡散を防ぐという責任も負うことになる」と報じた。

 すでに大会組織委員会は、大会時に守るべきルールをまとめたリーフレットを作成。その上で、マスク2枚と携帯用アルコール消毒液、体調管理ノートを配布することになっているが、ワクチンを接種できる見通しは立っておらず、安全性を担保されているとは言い難い。実際に、あるボランティアは「どうすれば安全にできるのかわからない。私たちの安全を守るために(組織委が)何をするのかを正確に教えてくれませんでした」と不満を口にしている。

 五輪期間中、選手らは「バブル方式」のもと、外出制限などを強いられることになる。しかし、ボランティアは選手らと接触する可能性があることから「自身の健康だけでなく、アスリートや他の五輪関係者の安全についても心配だ」との声がボランティアから漏れている。

 そのため、静岡県在住のボランティア参加者は11万円を支払い都内のホテルを確保。上京後は公共交通機関の利用を避けるため、自動車で会場まで向かうという。さらに、五輪後、速やかに仕事へ復帰できるようにPCR検査キットを購入。ボランティアの立場にもかかわらず、大きな負担を余儀なくされた。

 同紙は「五輪中に約78000人のボランティアをコロナから守ることができるのか」との観点から終始、厳しい論調で問題を提起。東京五輪開幕まであと3か月を切った中、もう一度ボランティアの安全性について考え直す必要がありそうだ。