安倍晋三前首相(66)は16日、日本オリンピックミュージアム(東京・新宿区)で行われた五輪オーダー(功労章)の授与式に出席。来日中の国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(66)から五輪オーダーの金章を授与された。

 五輪オーダーは1906年にクーベルタン男爵が五輪の普及・発展に顕著な功績を残した個人、団体に対して授与したことが始まり。安倍前首相は日本人63人目、首相経験者は初、金章は3人目となった。

 式典で安倍前首相は「私は本章を五輪ムーブメントに献身して倦むことを知らず、東京2020大会を待ち望み、成功させようと勇んでやまないすべての日本人になり代わる思いで頂戴します。ありがとうございました」とあいさつ。そして、首相在任中の今年5月29日、航空自衛隊の「ブルー・インパルス」が東京上空を飛び、医療に従事する人々へ感謝の意を伝えた光景を振り返り「56年前、第1世代のブルー・インパルスが見せてくれた夢を、私の胸によみがえらせずにはいませんでした」と語った。

 さらに第3波とも言われるコロナ禍の現状について「今、人類は疫病との闘いに歯をくいしばり、唇をかみしめて、互いが互いを思いやりながら、夜に日を継いで耐え、勝利の日を待ち望んでいます」と話した上で「私たち人類は強い。絶望を希望に変える力を持っています。だからこそ五輪は聖なる火をともして、希望のたいまつとし、それを人の手から手へと渡し続けてきた。そうでは、ありませんか」と問いかけた。

 これまで招致活動に尽力してきた身として大会開催を強く望む安倍前首相は「2021年7月23日、東京の空高く、いま再びブルー・インパルスが天翔ける時、世界のどんなところに住まう方も、一度は絶望の淵にくれた人々でさえ、天を、そして青空を、はるかに仰ぐことでしょう。その日、東京にラッパが鳴る。ファンファーレは世界に響き、人の心に凍りついた恐怖を解かし、希望に置き換えてくれることでしょう」と来年夏への思いをはせ、最後に「どんなに打ちひしがれても、何度でも、また立ち上がる。人間の気高さを称える大会になります。オーダーにかけて、私はそう申し上げ、受章の言葉といたします」と力強く締めくくった。