あるマイナー競技が“笑いの力”で脚光を浴びている。渋谷系チャラ漫才でブレーク中のお笑いコンビ「EXIT」が東京五輪に臨む近代五種をイジり倒した漫才が話題沸騰中。競技の知名度の低さをチャカしながらルールを紹介する爆笑ネタだ。冷やかされた日本近代五種協会を直撃すると、ご立腹どころか「どんどん宣伝して!」と大歓迎。知名度アップを目指したコラボ企画にも前向きで、人気コンビに熱視線を注いでいる。

 近代五種はフェンシング、水泳、馬術、レーザーラン(射撃、ラン)と全く異質な5種類の競技を行う複合スポーツ。駆け引き、瞬発力、メンタルなど総合力が求められる「キング・オブ・スポーツ」と言われるが、一方で五輪競技としてはやや地味。お世辞にも人気競技とは呼べない。

 そんなニッチな世界に目をつけたのがEXITだ。漫才では「オリンピックのチケット当たった! 近代五種、イェ!」というツッコミ・りんたろー。(34)の報告でスタート。しかし、相方の兼近大樹(29)は「あんま言いたくねーけど、当たりそうだな」と不人気ぶりをディスる。その後、りんたろー。は競技のルールなどを説明し、兼近は「フェンシングの優勝者と近代五種の優勝者がフェンシングで戦ったら?」などと“難癖”をつけて笑いを取る。最後は「近代五種は冬みてぇ。どちらもカンキ(歓喜、換気)を呼ぶでしょう」と第7世代らしい優しいオチとなっている。

 この漫才がテレビでお披露目されたのは3月中旬。5月に再放送されるとSNSで「面白すぎる!」「近代五種が見たくなった」と話題となり、一時は「近代五種」がトレンド入りしたほどだ。実際にネタを見た日本近代五種協会の冨安一朗事務局長(61)は「とても面白いですし、近代五種を題材にしてくれるだけでありがたい」と大喜び。

 ただ、事実誤認もあるようで「フェンシング、馬術…と順番に言っていますが、正しくはフェンシング、水泳の順です」「レーザーランは射撃、ランニングの2種としてカウント」「近代五種王者がフェンシングの全日本大会で優勝したこともありますよ」と訂正。その上でEXITへ「今後もどんどん取り上げてください。近代五種を題材にした第2、3バージョンをやるなら、協会からネタを提供しますよ」と呼びかける。

 さらに知名度を上げてくれたEXITを「イメージキャラクター」に登用する案にも「引き受けてくれるのならうれしい。来年の五輪へ向け、いい機会になる。予算はそんなにかけられませんけど(笑い)」と前向き。実際に7月の理事会で話題に挙げる方針という。

 2018年には近代五種をサポートする日清食品が応援ソングを制作。ゴスペラーズの「ひとり」の替え歌で“近代五種ペラーズ”が歌唱し、大きな話題となった。今回「地味スポーツ」と「チャラ芸人」の異色コラボ実現となれば「お後がヒア・ウィー・ゴー」といったところか。