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「猫失格」はカンボジア側のチョンボ


 昨秋にカンボジア国籍を取得し、同国オリンピック委員会からロンドン五輪男子マラソン代表に選ばれたタレント猫ひろし(本名・滝崎邦明、34)が、国際陸連の定める国籍変更者の参加基準を満たしておらず、五輪出場が消滅した。そもそも国籍変更にまつわる規制強化は昨夏に各国に示されていたもので、カンボジア側と猫のルール無知が浮き彫りになった格好だ。

「今回のルールは3月12日付で改正されたものだけれど、その前段階として、昨年11月に効力を発したものがあった。8月の大邱(韓国)の世界選手権時に決定した『2年間』という規則。世界各国の陸連が自ら承認したものだから、(国際陸連加盟国は)それを知っていなくてはいけない」
 猫の資格問題が浮上した当時、日本陸連関係者は国籍変更者の国際大会出場に関する規制強化について、そう解説した。

 猫が抵触したのは、国際陸連競技規則の「ルール5」第2項。過去に国際大会に出場した経験のない国籍変更者が国際大会に出る場合、国籍変更から1年以上が経過していることを新たに条件と定めた。例外規定として「連続1年の居住」または「国際陸連理事会の特例承認」も設けたが、昨年10月にカンボジア籍を取得した猫はいずれも該当しないとされ、アウトとなった。同国側はこの判断に従うという。

 今回の五輪消滅をめぐっては、もっぱら3月12日から有効となったこの新規則が取りざたされているが、前出の日本陸連関係者が示すように、実は「前段」があり、猫のような国際大会出場歴のない国籍変更者にまで国際大会出場に関する規制が設けられることは周知の事実だったのだ。

 それが改正前の「ルール5」第2項で、「出場する国際大会の2年前に新たな国籍を取得していること」などが内容。ただ、前出の日本陸連関係者によると、それでは厳しすぎるといった意見もあり、現行のものに改正されたという。

 五輪代表に決まった3月末以降、猫をめぐっては「カネで五輪出場を買ったに等しい」「カンボジア人の夢を奪う」などと批判的な報道や意見が相次いでいた。だが、そもそもは門前払いだったというわけ。記者会見まで開いた猫はぬか喜びをさせられたのだが、五輪挑戦を後押ししたカンボジア側の責任は大きい。

 昨夏に示された国際陸連の規制強化を知らないのだったら、最低限の情報収集すら怠った大失態ということになる。規則の解釈の違いの可能性もなくはないが、国際陸連との間で詰めた形跡はみられない。早い段階で対策が行われていれば、今回のような騒動は起きなかった可能性もある。

 そう考えると猫はカンボジア側のミスの被害者ということになる。とはいえ、走ること以外の面をすべて同国側にお任せしていたのなら、〝自業自得〟のそしりも免れないだろう。国籍を変えてまで五輪出場にかけるなら、参加資格が大丈夫かカンボジア側に問いただし、自らも情報収集すべきではなかったか。

 昨年11月の東南アジア大会(インドネシア)にカンボジアの一員として出場した当時は、国際大会出場資格が問われなかった猫。国際陸連が今回、資格を調べた背景には、国籍変更で起こった一連の論争もあるに違いない。

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