【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】フィリピン首都マニラの南60キロにあるタール火山がさる12日午後、噴火した。周辺の3つの街に避難勧告が出され、火山灰と噴煙の影響でマニラの国際空港は一時的に閉鎖、またマニラの学校や官公庁、金融市場も休業となった。

 この火山はカルデラ湖の中心に浮かぶ火山島。過去たびたび大噴火を起こし、1911年には死者1000人を出した。今回の噴火を受けフィリピン火山地震研究所は警戒レベルを5段階中の4に上げ、さらなる大規模噴火に備え警戒を続けている。在マニラ日本大使館も在留邦人に対し、タール火山周辺への立ち入り自粛を求める注意喚起などを発出した。

「11日からの3連休で、マニラには日本から多くの観光客が訪れていた。帰国便がキャンセルとなり、空港で足止めを食らった人も大勢いたようだ」とはマニラ在住駐在員。空路は14日になり再開しつつあるが…。

「中にはマニラからのフライトを諦め、ルソン島中部のクラーク空港を目指した人もかなりいたと聞く。マニラから北へ車で2時間ほどの国際空港で、かつては米軍基地でもあった。韓国や中国などと結ばれていて、成田空港からLCC『セブ・パシフィック航空』の直行便が飛んでいる。こっちから帰国しようという動きもあるようだ」(同)

 ただ噴煙は南からの風に乗り、マニラ上空に達し、ルソン島北部へ広がりをみせている。これを受け12日未明にはクラーク空港も閉鎖。14日には再開されたが、火山の状況によっては流動的だ。

 この事態に頭を抱えているのが、クラーク空港近郊に広がる「フィリピン最大の歓楽街」と言われるアンヘレスに滞在している邦人たち。

「もともと駐留米兵たちを癒やすためつくられた街だが、今ではタイ・パタヤと並ぶ東南アジア有数の売春地帯。フィールズ・アベニューという通りを中心に100軒超のゴーゴーバーが密集する。水着や下着、トップレス姿で踊る女性たちを、欧米人や韓国人、日本人の男性客たちが酒を飲みながら観賞するというスタイルで、もちろんダンサーは連れ出し可。バーファインと呼ばれるカネを店に払って、ひと晩店外デートができるシステムで、相場は3000ペソ(約6500円)ほど」(駐在員)

 マニラより治安がいくらか良く、狭いエリアに遊び場が密集し渋滞もないことから、日本の風俗マニアには知られた街。ここ数日も夜遊び目当ての外国人が多く滞在中とみられるが、被害が拡大しクラークもマニラ空港も閉鎖されたら、しばらく帰国できない。

 タール火山は今後、爆発的噴火を起こす可能性もあると現地当局が発表している。当面はアンヘレスやマニラでの夜遊びで“噴火”どころじゃなさそうだ。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「バンコクドリーム『Gダイアリー』編集部青春記」(イースト・プレス)。