【「令和」に刻む東京五輪 気になる人をインタビュー】日本国民に勇気と感動を与えたサッカーの2011年ドイツ女子W杯優勝から8年半。日本のミラクルVに貢献したMF川澄奈穂美(34=スカイ・ブルー)が本紙連載「『令和』に刻む東京五輪」に登場だ。数々のインパクトあるプレーを見せてきた美人アタッカーは、世界一奪還のかかる東京五輪出場を熱望。昨年のフランス女子W杯でのなでしこジャパンについて熱弁を振るうとともに“レジェンド”へのおねだりや、ラグビー日本代表メンバーとの意外な接点も語ってくれた。

 ――昨季からスカイ・ブルーでプレー

 川澄:シアトル(2018年まで在籍したレインの本拠地)にいたい気持ちもありましたが、監督が代わってサッカーも変わって、どれだけ試合に絡めるかというなかで、スカイ・ブルーの獲得意思と私の思いが合致したので思い切って移籍しました。

 ――東京五輪が迫る

 川澄:すごく出たいと思っています。そのためには自チームでやるしかない。スカイ・ブルーでは中盤やサイドで使われることが多く、ボールをさばいたり、受けてというプレーが増えたのも事実。日本ではアタッカーでガンガンやるタイプでしたけど、新しいチャレンジを楽しんでいます。もし(代表に)選んでいただいたら、柔軟に対応できると思います。

 ――なでしこジャパンは世代交代が進む

 川澄:私自身は「世代交代」という言葉が嫌いで代表には必要ではなく、戦えて、うまい選手が入るだけ。もちろん、監督にしかわかりませんが、今の日本代表も世代交代をしたからではなく、一番戦えるメンバーを集めた結果。なので年を重ねてもいい選手であれば、そこに入っていけると思っています。

 ――昨年のフランスW杯で日本は16強敗退

 川澄:自分は行っていない人間なので、負け惜しみに聞こえちゃうけど、外から見て感じたことはあります。世界大会になると強いチームが出している雰囲気があって、それは微妙な日々の生活の小さな積み重ね。世界を知る選手が、その雰囲気を引き出せれば、一番良かったんでしょうけど、それがうまくかみ合わなかった印象です。やっぱり世界大会になると頑張るだけではなく、もう1~2個必要なものが増えてくる気がします。

 ――ドイツW杯優勝時にあった雰囲気か

 川澄:自分が何かをやったのではありませんが、11年、15年(カナダW杯)を経験させてもらったとき、経験のある選手たちがピッチ内外でそういうこと(雰囲気づくり)をやってくれたので、自分もうまく戦いに入れたと思います。

 ――11年は大会中に急成長した

 川澄:自分では何か変わった感覚はなくて、スタート(先発)じゃないと言われても常にいける準備をしていましたし、そこを評価されて、たまたま(準決勝スウェーデン戦の)スタメンに抜てきされて結果(2得点)を出しただけ。でも、あのチームはたとえ私でなくて、他の選手でもチームとして結果を出せたと素直に思います。

 ――ところで、昨年はラグビーW杯が盛り上がった

 川澄:すごい盛り上がりでしたね。帰国して見に行こうと思ったのですが、チケットが高くて諦めました(笑い)。15年(ラグビーW杯イングランド大会)に南アフリカに勝ってから4年間、あるいは、それ以前から本当にたくさんの努力を重ねてやってきたんだなというのが部外者にも伝わってきました。

 ――知り合いの選手は

 川澄:13年に田中(史朗)選手(35=キヤノン)とスポーツ選手が出る番組でご一緒させていただいたくらい。知人ではないですけど、堀江(翔太)選手(34=パナソニック)が自分も好きな(歌手の)aikoさんのファンと知ったので陰ながら応援していきます。aikoさんを好きな人に悪い人はいませんからね。

 ――11年W杯優勝後、カズことFW三浦知良(52=横浜FC)からメンバーにバラが贈られた

 川澄:実家に飾ってありますよ。メンバーに入って東京五輪で金メダルに輝いたら? グアム旅行ですかね。静岡学園(※)ではないから無理かもしれませんが(笑い)。その前に(自身が五輪メンバー入りするなど)いろいろハードルがあるから頑張りたいですね。

※今年1月の全国高校サッカー選手権で優勝した静岡学園のOBカズは選手たちにご褒美としてグアム旅行の贈呈を検討中。

☆かわすみ・なほみ 1985年9月23日生まれ。神奈川・大和市出身。日体大を経て2008年になでしこリーグのINAC神戸に入団。クラブ初のリーグ優勝となった11年に得点王とMVPをダブル受賞した。米国女子プロリーグのレインで通算4季(14、16~18年)プレーし、19年からニュージャージー州ピスカタウェーを本拠地とするスカイ・ブルーに在籍。なでしこジャパンでは11年ドイツ女子W杯優勝、12年ロンドン五輪銀メダル、15年カナダ女子W杯準優勝など主力として活躍した。158センチ、50キロ。