新型コロナウイルスに感染して療養していた日本サッカー協会の田嶋幸三会長(62)が2日に退院した。

 ウェブ上で取材に応じた田嶋会長は「このたびの新型コロナウイルスの感染に伴い、多大なるご心配とご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます」と語った上で、実際に感染者となった経験から現在の日本の医療を取り巻く現状に警鐘を鳴らした。

「(自身の)部屋に入るたびにごみ袋のようなものを変えたり、目につけているゴーグルのようなものを取り外して処分する。そういうものが足りなくなってきている」と入院中の様子を振り返りつつ「そこで患者が増えてくると、他の国のように医療関係者が感染する状態が増えてくる。医療崩壊を招いてしまう。疲弊しない状況をつくらないといけない」と訴えた。

 また、新型コロナウイルス感染の有無を調べるPCR検査を受けられる例が限られている状況に批判の声も出ているが「指定感染症となったことで、陽性になった途端に軽症でも入院しなければいけない。検査を増やすだけだと、あっという間に医療崩壊を起こしてしまう」と検査数を増やすリスクを強調。「うちの家族ですらPCR検査をしてもらえなかった。それは、検査を増やさないように(医療機関が)努力しているのではないか。軽症者をどこにどう集めて治療、隔離しようとか、今のルールでは陰性が2回出ないと退院できない。そうするとなかなか退院できず、どんどんベッドが埋まっていってしまう。これだと重症の方が出たときに、入れないというのが目に見えている」と自身の見解を語った。

 貴重な生の声が、医療崩壊を防ぐ一助となるか。