【江戸川ボート・GI江戸川大賞:注目レーサー=三角哲男(50=東京)】SG戦線で主役を張る若手人気選手や、抜群機の1号艇が相手の時こそ燃えるのが三角哲男だ。ベテランが今でも最前線で戦い続ける原動力は、まさに江戸川水面のような“荒波”に立ち向かう反骨心に他ならない。

 マスターズチャンピオンは2年連続優出。結果は別にして“この男なら何かやってくれるはず”とまくり屋としての存在感を存分に見せつけた。今年の津・第18回大会ではV戦1号艇で大本命に推された今村豊に対し、策を練って敢然と立ち向かった。4号艇=4カドからチルトを0・5度にはね上げイチかバチかの伸び仕様で牙をむいた。

「あのまま(準優と)同じ状態でいったって誰も面白くないでしょう。無難に着を取りにいくレースなんかしたくないからね。負けたことは悔しいけど、やれるだけのことはやったわけだし。今でも一応、反骨心は持ち合わせてるんだ(笑い)」

 3月3日の誕生日を過ぎてから年齢のことを強調されることも多くなった。仕方がないことと割り切ってはいるが“ミドル世代”の女性同様にやはり面白くはない。

「最近見たテレビで、年齢のことを言い始めたら先が見えちゃうみたいなことをやってたけど、ホントその通りだと思うよ。『もうこの年だから』とか『50になったから』とは言わないようにしようと決めたんだ。同い年に誰がいると思ってるの? カズだよ。サッカー選手ですよ! すごいことだよね」

 三浦知良。日本代表を経験した男が今でも現役で奮闘し、ファンに愛され続けていることのすごさを尊敬すると同時に、同じ時代を生きてきた50歳として誇りに感じている。プロとして見習わなければならない姿勢や気持ちの強さがそこにはある。

 浜野谷憲吾や石渡鉄兵。波乗り巧者として彼らに負けない地元愛を胸に秘め、大一番に臨む。

「地元でヘタなレースをしたら笑われるからね。最近はちょっとSのキレが悪いけど、しっかり仕上がった時はイケると思うよ」

 レース場を問わず、勝負どころで一番、強い気持ちがにじみ出るのがセンター戦。レースのキーマンとして目立つことは嫌いではない。

☆みすみ・てつお=1967年3月3日生まれ。千葉県出身。東京支部の58期生。86年5月の多摩川でデビュー。その3か月後の江戸川で初勝利、90年の大村で初Vを飾る。通算82V。GⅠタイトル3つはすべて多摩川で獲得。94年の住之江グラチャンでSGウイナーの仲間入り。趣味は野球観戦など。大のロッテファン。身長164センチ。血液型=A。