【戸田ボート「開設60周年記念GI戸田プリムローズ」(25日開幕):エンジン評価】2017年の関東GⅠロード開幕戦となるボートレース戸田「開設60周年記念・プリムローズ」が25日、熱戦の幕を開ける。地元エースで昨年末のグランプリファイナリスト桐生順平を筆頭に辻栄蔵、山崎智也、魚谷智之、池田浩二など全国から豪華メンバーが集結。だが、今大会に限って「主役」はレーサーでなくズバリ、エンジンだ! 本紙は10年に一機との呼び声も高い“怪物エンジン”44号機を大特集する。

 もはやエース機という表現では生ぬるい。新日本プロレスの棚橋弘至が100年に一人の逸材なら、戸田ボートの44号機はさしずめ10年に一機の「怪物エンジン」だと断言できる。レース場関係者や常駐記者はもちろん、レーサー間でも大評判。あの山崎智也も「44号機? 知ってるよ。優勝かフライングか、のエンジンでしょ?」とリサーチ済み。昨年11月の大村SGチャレンジカップで同じ数字の大村エース44号機に乗って優勝した石野貴之も「戸田の(44号機の)方がすごい。あれは何年かに一度のエンジンでしょうね」と舌を巻いたほどだ。

 過去の戦跡を見れば一目瞭然。2連率59%、勝率7・02、10優出、6Vはすべてズバ抜けた数字で“4冠”だ。初下ろしから一度も衰えることなく抜群足をキープしており、S遅れや枠の不利も関係ない伸びが特徴。展示タイムはぶっちぎり、直線で2~3艇身ほど引きちぎり道中の逆転劇を何度も演じてきた。完全Vを達成した村上純は思わず「訓練生でも勝てる」とジョーク交じりに表現したほどだ。

 特筆すべきは決して乗り手に恵まれていないということ。A1選手は2人だけで、ほとんどがB級。乗り手の平均勝率4・73に対する実際の勝率7・02を考えるとその怪物ぶりがうかがえる。直近の正月開催では勝率2点台の滝川千依が駆り、地元エース桐生順平を相手に勝利を収めるなど大活躍し、過去2年の通算勝利数と同じ3勝を挙げて準優進出。SGレーサー中沢和志が滝川との対戦を嫌がったとの逸話も残されている。

 過去には野沢大二をSGクラシック制覇に導いた平和島36号機(02年)など怪物エンジンは存在したが、戸田44号機が今回のGⅠで優勝すればボート史に残る「伝説」となるに違いない。

■実際に乗った選手の反応■

★道上千夏(B1級、勝率4・65)優出5着

 勝率4点台の選手が2年ぶりに優出するからすごいですよ。だって前検日に競技委員長が「過去に(3人)フライング切ってるからS気をつけて」とわざわざ言いに来るんですよ。ホームの伸びもいいけど、バックの足がズバぬけてました。後ろから前に行ってSが慎重になるくらい伸びる。遅れても1MまでトップSの状態になる。あんなエンジン初めてです。選手人生で一番だし、ほんとバケモンですよ!

★山崎昴介(B1級、勝率4・97)予選敗退

 とにかく「すごい」のひと言に尽きますね。ホントすごい、しか言えない。間違いなく選手になってトップのエンジンでしたね。伸びとかだけではなく全部の足ですね。前と3~4艇身の差があって、追いつかないと思って走っていても次のマークまでに届いちゃう。突っ込む気持ちなんかないのに入っちゃうんですよ。御(制御)するのに苦労しました。スタートにしても自分の感覚以上に出て行くので、すごく気を使いました。なにせ、すごいエンジン。持って帰りたかったですよ(笑い)。

★酒井陽祐(B1級、勝率3・33)予選敗退

 最初に乗った時から力強さがあって伸びもありました。コケて転覆整備しましたが、さらにもうチョイ良くなってました。

 ただ、伸びだけで出足はそこまでではなかった気がします。ペラのおかげなのか、エンジンがいいのか分からない部分もあって(ペラを)叩かず乗ってました。あの後、愛知の選手が多く乗っていますね。ボクが流れをつくった? そうかもしれません(笑い)。

★斎藤和政(B2級、勝率4・33)優勝

 最初乗ったときはそこまで感じなかったんですけど、このエンジンは走りだすとすごいですね。伸びよりも回ってからの二の足がすごかった。自分が優勝できるんですから、今までの人生でもトップクラスですよ。

★佐竹友樹(B1級、勝率5・23)優勝

 すごいと聞いていたけど、もらった時点では期待してたほどじゃなかった。レースに行けばバランスが取れて出ているし良かったですけどね。行き足から伸びで縁が切れる(引きちぎれる)ほどすごいと感じなかったんですよ。そこまでパンチが利いてなかった。このエンジンはボートによって特性が変わると思う。伸び一本の時もあればバランス型の時もある。エンジンがいいのは間違いないです。

★その他のエンジン評価=噂の怪物エンジン「44」以外はどうか? 2連率50%で2位の「25」は3優出1Vこそ目立たないが、レース足がいい堅実タイプで初下ろしから一度も低調になったことはなく、近況も悪くない。「44」に次ぐ断然のナンバー2と言える。近況好調なのが昨年末から3連続優出だった「24」、通算8優出の「13」。気温が下がる秋口以降から成績が安定しているのも強みだ。逆に2連率上位ながら下降気味なのは「16」「41」の2機。特に「41」は通算2連率は5位の45.63%だが、近5節は30%台前半まで落ち込んでいる。機歴を過信せず、状態を見極める必要がある。