【芦屋ボートGⅠ全日本王座決定戦:展望】ボートレース芦屋のGⅠ「開設64周年記念・全日本王座決定戦」がいよいよ13日に開幕する。福岡3場一番の静水面を舞台に、艇界屈指の精鋭たちがスピードバトルを繰り広げる。芦屋のグレード戦で数々の実績を残してきた腕自慢が集結するが、そろそろGP出場権をにらみ、どれだけ賞金を加算できるかも気になるところ。瓜生正義、峰竜太、篠崎元志の九州を代表する実力者が、タイトル流出を阻止するのか。あるいは坪井康晴(ボートレースクラシックV)、平本真之(ボートレースオールスターV)山崎智也(グランドチャンピオンV)と揃った今年のSGウイナーたちが大暴れするのか。見どころたっぷりの6日間だ。


 地元エースとして瓜生正義にかかる期待は大きいが、8月の当地九スポ杯優勝戦では、渾身のイン先マイを篠崎仁志に差されて2着という結果に終わった。痛快ターンで圧倒していたころと、明らかに周りの状況は変わっている。瓜生を目標に急成長を遂げてきた峰竜太、篠崎元志とは当地実績、データ、近況と差がなくなったのは間違いない。瓜生が第61回大会以来、2度目の芦屋周年Vを達成するには、テクと経験をフルに生かせるシーンが必要だろう。

 一方、峰は7月のSGオーシャンC(鳴門)の準優勝戦でフライング(F)。篠崎元は8月のSGメモリアル(桐生)3日目にF。ともにGP出場権確保を前提とするなら、優出もしくは優勝という結果を求めなくてはならない。気持ちのコントロールが当面の課題ではあるが、モチベーションの高さは逆に“買い”のサインとも言える。

 賞金レースを優位に運んでいるのは坪井康晴、平本真之、山崎智也の今年のSG覇者たちだ。気持ちの面で落ち着いてレースに臨めるのはこの時期プラス。じっくりと仕上げて、上位進出を狙ってくる。

 勝ったレースはいずれもピンポイントのチャンスをモノにした格好。3月クラシックVの坪井は強力モーターフル回転。5月オールスターVの平本は、予選が上位混戦となったのがプラスに働いた。また、6月グランドチャンピオンVの山崎は、準優で予選トップの瓜生を叩いて一気に流れを呼び込んだ。

 一方、シンプルに数字の比較で彼らSG戦士を上回るのは渡辺浩司、徳増秀樹、平田忠則である。渡辺と徳増はとにかく出色の1着数。今年の最多勝を争っている状況だ。さらに、平田は一般戦を中心に今年6Vを挙げている。それぞれタイプは違うが、勝つチャンスを絶対に逃さない姿勢は充実度の表れ。シリーズの盛り上げ役として、大暴れに期待したい。

 ポテンシャルの高さからは後藤翔之が気になる存在。相変わらずの事故点先行はマイナス材料なのだが、そんな中でもSGダービー(10月25日〜、福岡)出場権をもぎ取っており、やはり力はある。好モーターの後押しがあれば、事故を恐れない突破力で大物撃破もあり得る。