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【ボートレース・思い出の名勝負】池上裕次 ダービーVより戸田38周年優勝戦


ボート界のレジェンド 語り継ぎたい思い出の名勝負

【池上裕次(50=埼玉・58期)】(GI戸田38周年記念)

 今回の「ボート界のレジェンド 語り継ぎたい思い出の名勝負」は長きにわたって“埼玉のエース”と呼ばれてきた池上裕次(50=58期)。“戸田天皇”とあがめられ、同場で数々の伝説を築き上げた男がいま語る思い出の名勝負とは――。

 1986年5月の戸田でデビューしたルーキーはいきなりその大物ぶりを見せつけた。初戦は新人の“定位置”6コースながらスタート一気に快勝。以降、噂にたがわぬ走りで出世街道を闊歩。しかも地元戸田での強さは神がかり的だったこともあり長らく「埼玉のエース」と言われていた。

 そんな池上の心に残る思い出の大一番は「SGで印象に残っているレースは一切ない。優勝した戸田ダービーはエンジンのおかげで勝てただけだから」。彼の脳裏に焼き付いて離れない思い出の一戦はGI戸田38周年記念。「自分の思い描いた通りのレースになったので、一生忘れない。予選も準優も一切記憶はないけど、とにかく優勝戦しか覚えてない」と今でも鮮明な印象が残っている。

 その優勝戦は1号艇・久間繁、2号艇・加藤峻二、3号艇・桑原淳一、4号艇・野中和夫、5号艇・福永達夫、6号艇・池上裕次(久間、池上以外は引退)。当時とすれば“超一流”の激突でSG優勝戦と言ってもおかしくない豪華版だった。

「前夜、自分は6コースだろうと想定してこうなるだろうっていう展開を考え“そうなれ”って念じていたんだ。どうしても優勝したかったので、優勝するにはその展開しかないと考えていた」

 4カドから攻める野中に対し内艇が抵抗。その間隙を突いてのまくり差し――。「どこが空くのかを瞬時に判断しそこにボートを持って行くイメージを常に持っていた。うまくいけば突き抜けられる」と思い描いたシミュレーションとドンピシャの展開を呼び込んだ。

「もう完璧!!っていう感じ(笑い)。あとのことは覚えてない。とにかく自分のイメージした通りに入れたことだけ覚えている。あの水しぶきの中、突き抜けて行った感覚は今でもハッキリ残ってます。今までたくさん1着を取ったが、これは一生忘れられない。とにかく戸田=地元っていうのは常に意識して走っていた。記念を走るときはいつも優勝する気持ちでレースに臨んでいたから」

 後にSGダービーのビッグタイトルをも手に入れ名実ともにトップレーサーの地位を確立。このGI制覇が大きなステップになったはずだが「僕は転機になったレースとかはないんですよ。もう若いときからずっとてんぐでしたから(笑い)。最初から上を目指していた…というか、ずっと上にいたと思っていたのでね。本栖(研修所)にいるときからずっとトップになるって思っていて、デビュー1走目で1着を取って、1年8か月で優勝、すぐにA級になったし。若いのに考え方や言葉も上から目線で、相当嫌われていたでしょう」と笑い飛ばしたが、この“我”、個性がレーサー池上裕次の強さの秘密だろう。

☆いけがみ・ゆうじ=1964年9月13日生まれ。86年5月、戸田でデビューの58期生。その初戦にいきなり初勝利=水神祭。GIは91年9月の戸田35周年記念で初優勝。以降、戸田周年記念は4V。SGは2000年10月、やはり戸田でのダービーが初V。通算優勝58回、GI5勝、SG1勝の実績を残している。同期は平石和男、三角哲男、田頭実ら。血液型=O。

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