舟券的中への近道 ボートレースアカデミー

<グリップ感>ここ5~10年の間に急激に使われだした言葉でいまや選手コメント欄にも頻繁に出現するが一体どんな意味なのか?

「grip(グリップ)」を和訳すると「しっかり握る、つかむこと」。つまりボートレースにおいては「ボートが遠心力で外に流れないように、水面をしっかりとつかんでいる感覚」を示す。

 とはいえ素人はピンとこないだろう。そこでベテラン三角哲男に「ファンにも分かりやすく教えてください!」とお願いすると「簡単だよ。車を運転している感覚を考えてみなよ」と説明してくれた。

「例えばカーブを速いスピードで曲がるとき、車体ごと(外側に)持って行かれる感じになるでしょ。でもいいタイヤだとグッとかかるよね。あの感じがグリップ感なんだ」

 岡山の記念レーサー・荒井輝年は雪道に例えて「ノーマルタイヤだとツルツル滑るけど、スタッドレスだと地面をつかむ感じになるでしょ。あれですよ」と解説してくれた。また埼玉支部長・須藤博倫は「スキーをやる人は分かると思いますが、コーナーのエッジと一緒です」と言う。
 つまり、グリップ感があると各コーナーでの攻防をしっかりと捉えることができ、逆にグリップしないと流れて失敗ターンになってしまう。レースを左右する重要な予想ファクターなので、コメント欄に出てきたら要注意!

 ちなみに同じニュアンスで「かかり」という表現もあるので、これを機に覚えておこう。

<出力低減エンジン>昨年末から全国のレース場で順次導入されている新型エンジン。正式名称は「ヤマト331型」で、媒体によっては「低出力エンジン(モーター)」とも表記される。ボート面にもたびたび出現するフレーズなので、いま一度おさらいしよう。

 現時点で別表の13レース場が導入。旧型に比べて最高出力が1馬力、低減されたことで「突発的な接触事故の衝撃緩和」「人身事故の防止」に機能するとされるが、レースおよび舟券にどう影響するのか? 新型機に乗った選手を取材すると、大きく3つの意見に集約された。

 (1)回った後の足が弱い
 (2)乗り心地に違和感
 (3)スタートが届かない

 出力が落ちたので(1)は当然の感想だろう。従来の感覚と微妙な差異が生まれるため、調整面で四苦八苦する多くの選手は(2)を口にする。中でも顕著な意見が(3)だ。

 実際、記念級の選手でも出力低減エンジンの1走目にスタートで大きく遅れるケースがままあり、一度経験した選手でも直前シリーズが旧型の場合はその感覚が抜け切れず、S勘が微妙に狂う現象が起きている。

 年内に全レース場で新型に切り替わり、いずれは調整面の正解も出るだろう。だが、移行期間中の現在は明らかに経験者が有利。舟券購入の際は「狙った選手が新型機を経験済みか?」をチェックするのも必要だろう。