舟券的中への近道 ボートレースアカデミー

 これを読めばアナタもボート通だ! ボートレースに興味はあるけど専門用語が分からない…。そんな読者の方々へ向けたボートアカデミー新企画がスタート。当コーナーではボート業界で使われる特殊な言葉を一から見直し、語源や意味を徹底検証。初心者にも分かりやすく解説していく。

<乗り心地>ボートレース面の選手コメント欄に頻繁に出てくるフレーズだ。「乗り心地がいい/悪い」と表現され、それぞれ「乗りやすい」「乗りづらい」と言う場合もある。

 実はこの言葉の歴史は意外と浅く、12~13年前から急激に使われるようになった。実際に当時の予想紙を調べてみると…。2001年春ごろは全く見当たらないが、翌02年からチラホラと見かけるようになり、以降にわかに普及。もっと前から一部の選手間では使われていたが、ターンやプロペラが進化したことで「乗った感触」をより重視する風潮が強まり、ボート用語として確立したと考えられる。

 では、舟券対策としては「乗り心地」をどう捉えるべきか? 多くのレーサーの話を総合すると「エンジンが出ているかどうかと乗り心地は全く別物」ということ。

 艇界トップ級の旋回力を持つ桐生順平は「出てなくてもメチャクチャ乗りやすいことはある」、今村豊は「どれだけエンジンが出ていても乗り心地が悪いと展開が向いても差せない」と証言。王者・松井繁も「結局、そこ(乗り心地)が一番大事」と強調した上で「直線からターンに入る前にレバーを放ったときにエンジンブレーキがパッてかかるのが一番乗りやすい」と説明する。秋山直之は自らの買い時を「乗り心地がいいとき」と語っている。

 エンジンパワーも大事だが、近代ボートでは「乗り心地」は予想と切っても切り離せない。これまで以上にコメント欄を注視してほしい。

<エース機>読んで字のごとく「ナンバーワン」のエンジン。ボートレースでは、シリーズ初日の前日(前検日)にエンジン抽選が行われ、出場選手は福引きで使われる抽選器を回して自分のエンジンを確定させる。自動車と一緒で個体差があるため、良しあしは非常に重要。その中で最高のエンジンが「エース」と言われる。

 ここで問題なのが「エース」の定義。複勝率(2連率)の1位を「エース」とするのがポピュラーだが、複勝率が低くてもパワー上昇中のエンジンであれば「エース」と呼ばれうる。ビッグレース前には大会パンフレットや、各新聞社のボート面に「エースは○号機」と記載されるが、必ずしも一致するとは限らず、媒体によって異なる場合がある。野球のピッチャーと一緒で、チームの勝ち頭でない「エース」も存在する。どのエンジンを「エース機」とするかは各社ボート記者の見識が問われるところであり、腕の見せどころでもある。

 ちなみにエンジン使用期間が短くて相場が固まっていない場合は「エース候補」、1つに絞れない場合は「エース級」などボカした表現を使うのが一般的。大会前にエンジンを予習する際は「エース」と断定されているかを見極めるのも面白い。