目指せ!「ヤングダービー」U-30の咆哮

【渡辺雄一郎(29=大阪・90期)】昨年の悔しさは忘れてはいない。戸田のプレミアムGⅠヤングダービー優勝戦でのフライング(F)。気持ちが入りすぎて大きな代償を払った。「力以上を引き出そうとして優勝戦はスタートを踏み込みすぎた。いつも通りのメンタルがその時なかった。どうしても勝ちたい気持ちが強すぎたのかもしれない」

 確かにあの場面で勝っていれば違った未来が開けていただろう。それでも気持ちを切り替えてコツコツと積み重ねているのが今の強み。F直後の14年10月大村一般戦から13節中9優出1V、全て予選突破を果たしている。今期勝率は7・17(14日現在)と高い勝率をマークし、このままいけばダービー出走の可能性もある。「そりゃあ、記念のあっせんを希望してますけど、実績ある先輩たちが選ばれて当然。基本、自分は一般戦で結果を出してなんぼ。ただ、クラシックやダービーみたいにSGに自力で行けるチャンスはある。そっちを目指したい」と前向きだ。

 デビューは16歳。ボートの世界に飛び込み13年の月日が流れた。現在は家庭を持ち3歳の男の子と1歳の女の子を持つ2児のパパ。「家を空けることが多いので嫁さんにはいつも感謝してる。それに上の子がよくしゃべるようになったんですよ。自分が勝てばおもちゃを買ってもらえると話しているらしく『1着取ってきてね』とレース前に見送ってもらえるのが今の励みになってます」と子供の話ではうれしそうな表情を見せる。

 持ち味はスタート力と自在にさばく旋回力。そこは上と戦っても引けを取らない。グレード戦の出場経験は少ないが気にしていない。「オール大阪とかで常にSGに乗ってる人たちと走ってるので気にならない。出てないエンジンを立て直したり、調整力も身についてきた。メンタルも自分の中では成長してきている」

 ヤングダービーに関しては昨年の悪夢に打ち勝ってこそ、ひと皮むけようというもの。「出るからには優勝を目指す。気負いもそれほどない。普段のレースを心掛けるだけ。平常心で戦えるメンタルをその場面で発揮できれば、いい結果に結びつくと思う」

 クールな表情の中にもメラメラと闘争心が湧き出ている。激戦区大阪でもまれ、着実に実力をつけている。上位陣を倒し、新たな風穴を開ける日は遠くない。

☆わたなべ・ゆういちろう=1986年3月31日生まれ。大阪支部。2002年5月住之江タイトル戦でデビュー。同年7月の尼崎一般戦で初1着。05年1月蒲郡タイトル戦でデビュー初Vを飾り、ここまで通算57優出V7。身長159センチ。90期で同期は長野壮志郎、山崎裕司、吉田拡郎、石野貴之、榎幸司、森定晃史、赤坂俊輔、万正嗣、宇野弥生ら。血液型=A。