【GⅠ平和島ダイヤモンドカップ(8日開幕):注目レーサー・浜野谷憲吾】「浜野谷憲吾」は終わったのか?――ボートファンの間でささやかれる「限界説」は年を増すごとに強くなっている。

 しかし、昨年の下関SGチャレンジCを思い出してほしい。優勝戦2号艇の浜野谷は「2着以上ならグランプリ出場」という究極の勝負駆けに追い込まれた。結果は1Mでターンマークに激突して6着。明らかに優勝を狙いに行ったターンだった。

 レース後は「(2着条件は)知っていたよ。でも最初から2着を狙ってもしょうがないでしょ」と言ってのけた。GP出場には一歩及ばなかったがやはり浜野谷は最後までファンをドキドキ、そしてヤキモキさせる“ファンタジスタ”だった。

 SG4Vを誇る彼の最後のタイトルは2007年の平和島クラシック。昨年はグランプリの舞台が当地ということで年頭から期待と重圧を一身に受けた。

「ずっと周りからグランプリって言われ続け、自分では普段通りやっているつもりだったけど…。必死にやっている姿を見せなきゃって考えたりね。だから、今年はもう伸び伸びやるよ。その方が自分はいいと思うんで」

 今年1月1日にたばこをやめた。「その分、酒の量が増えちゃってね」と笑い飛ばすが、彼らしい覚悟と決意であることは間違いない。限界説を吹き飛ばし、復活ののろしを上げるにはこの地元・GⅠ平和島ダイヤモンドカップが格好の舞台。

「やっぱり特別だね。ファンの声も届いてくるし」

 強くてカッコいい浜野谷をファンは待っている。

☆はまのや・けんご=1973年11月8日生まれ。東京支部の70期。92年5月平和島でデビューし、2走目に初勝利を挙げる。2007年平和島クラシックなどSG優勝4回。身長170センチ、血液型=A。

【GⅠ平和島ダイヤモンドカップ(8日開幕):注目レーサー・角谷健吾】まだまだこんなモンじゃない! 今の角谷健吾に対し、そんな物足りなさを抱いているファンは少なくないのではないか――。

 2000年2月の戸田GⅠ関東地区選手権をデビュー8年目で初制覇。その後は東京支部のエース候補としてSGの舞台に羽ばたいていったが、記念制覇はそれだけ。いまだSGタイトルはない。

 現在もA1常連に変わりはないが、当時の勢いを考えると停滞感は否めない。それでも今回「主役級」として取り上げたのは緩やかな復活の兆しがあるから。昨年9月の蒲郡で1年ぶりにVを飾ると、そこから一気に半年で5V。来期(15年後期)の勝率はキャリア最高の7・57に迫る勢いだ。

「僕は成績が良くなって何かを意識するとダメになる。で、気が抜けて気張らないで走るとまた上がる。この繰り返し。だから最近は自分のペースでやっているのが好成績につながっている」

 自分の技量以上のものは出せない。長年の経験で培った割り切り。40歳を過ぎて悟りの境地に入ったが、それでも心のどこかに「もう一丁」の思いがある。

「やっぱり自分が忘れられないうちにもう一回SGに出たい。自分に何が足りないか? もう一つ越えないといけない壁があることは分かっている。上の舞台で本気で戦うとなるとホントに苦しい。そこに踏み込んでいく勇気…ですかね」

 そんな決意にも似た言葉を吐いた。その一歩を踏み出したとき彼の第2章が幕を開ける。この地元GI戦がその時かも。

☆すみや・けんご=1972年12月24日生まれ。東京支部の71期。92年11月平和島でデビュー。浜野谷と同じく2走目に初勝利。2000年2月戸田関東地区選手権でGⅠ初優勝。身長161センチ、血液型=O。