【若松SGボートレースメモリアル:カウントダウンコラム(3)】没個性化が著しい昨今だが、ボート界には様々な個性派レーサーがいる。26日開幕の若松SG「第60回ボートレースメモリアル(モーターボート記念)」に浜名湖代表として出場する徳増秀樹(39=静岡)は艇界でも指折りの個性派だ。初SG取りへ機は熟しているが、いつも通り泰然自若の姿勢を崩さない。

 ピットでは無駄口をほとんど利かない。記者に対しては、吟味された質問にだけ言葉を選びながらじっくり答える。ともすれば「不気味」と思える独特なオーラ。ここが徳増の武器でもある。

「翌日の番組を見て、徳増がいると嫌だなって相手に思わせる。それが理想じゃないですかね? 総合力では上の人に勝てない。だから、自分の武器を磨く。その武器とは心も体も常にニュートラルな状態に保ち、一瞬の展開をついてツボにはめること。これが自分の得意な勝ちパターンです」

 レースの前日から頭の中で何パターンもの戦術を立てている。緻密な計算をしながら、無表情を貫く。「オールラウンドなレーサーが増えている中で、個性は大事にしたいと思ってます」と言う彼は、昨年末からさらなる隆盛期を迎えている。

 SG戦線では昨年11月の津「チャレンジカップ」から今年7月のまるがめ「オーシャンC」までの5大会で4回も優出し、予選落ちは一度もない。現在の獲得賞金額も第10位。SG初制覇も時間の問題といえるが、本人は「勝つに越したことはないけど、やることは一緒。周りはどうこう言うけど、それでブレても仕方がない。1レースごとの積み重ね。毎日勝負駆けと思って魂を入れて走っている。いつも通りのパフォーマンスをするだけ」と、動じることはない。

 4年ぶり2度目のボートレースメモリアル出場を決めたのも、ここ1年の成績が大きく評価されたからに他ならない。

「昨年これだけの成績を取ったという自負はある。選んでもらった以上、恥ずかしいことはできない」

 8月は浜名湖、とこなめ、津と3連続V。すべて一般戦とはいえ「勝ち癖をつけたい」「SGも一般戦も一緒」というポリシーを持つ彼は「浜名湖代表として出場する意味でも、格好ついた形で臨めると思う」と胸を張った。

 不惑を目前に勢いを増す「クセ者」。強豪揃いの舞台でも強烈な存在感を見せつけるに違いない。

☆とくます・ひでき 1974年11月29日生まれ。静岡支部の75期。94年11月の浜名湖でデビュー。97年8月の津で初優勝。GⅠ初優勝は2010年4月の浜名湖周年記念。SGは6優出で優勝はない。通算63V(GⅠ2V)。14年後期は自己最高勝率7.64。13年の獲得賞金額は6062万9000円(第15位)。身長166センチ。血液型=A。