【浜名湖SGグランドチャンピオン(24日開幕):カウントダウンコラム(3)】SG直前恒例の短期集中連載、第3回は湯川浩司(34=大阪・85期)をピックアップ。かつて“湿気王子”の異名を取り、このじめじめした梅雨時にめっぽう強さを発揮。グラチャンには9年連続9回目の出場という常連、しかもこのタイトル最多のV3(07、08、10年)を誇る“浪速の快速王子”。彼のグラチャン論とは?

 今年もこの季節がやってきた――。まるで“季節の風物詩”のようだが、この「グラチャン」シーズンになると、やはりこの男の顔が思い浮かぶ。

 ペラ制度が切り替わる以前とはいえ、このタイトルはV3の高い実績。「自分にとって相性がいいSGだと思っている」と言ってはばからない。それでも「SGは(グラチャンに限らず)常に優勝したいという気持ちで走っている」と、こだわりはない。

 今年で9年連続出場で自身を「湿気王子」と言い放つなど、この季節にめっぽう強く、ライバルたちが苦手とする梅雨時の調整でアドバンテージを取ってきた。

「持ちペラ制から今のシステムに変わってからは爆発的に出ることは少なくなったけど、その時その時に引いたエンジンの特性や長所を生かした調整を心掛けている。現在はその節のエンジンの素性に合わせた“微調整”力を大事にしている」

 ペラ制度変更直後はしばらく戸惑いもあったようだが、昨年末は3年ぶりに「賞金王決定戦(グランプリ)」に出場。ここ最近は再び上昇ムードに転じてきた。

 今年のSGロードでは「クラシック(総理大臣杯)」&「オールスター(笹川賞)」と予選敗退が続くなど低迷していたが、直近のGI若松62周年記念で優出。やはり梅雨時に強い“湿気王子”は健在のようだ。今大会も当然、目が離せない。

 昨年11月のチャレンジCで森高一真がSG初優勝。これで85期生のSG覇者は5人目を数えた。艇界屈指のエリート集団“銀河系軍団”では目下、井口佳典がSG5勝でトップに立つが、湯川は現在V4(グラチャン3VとチャレンジC)で肩を並べるチャンスだ。

 この浜名湖では第10回チャレンジCを制したように「乗りやすい印象でいいイメージがある。今回も優勝を狙ってV4を目指したい。そして年末のグランプリに出場したい」と照準は定まっている。

☆ゆかわ・こうじ=1979年9月21日生まれ。大阪支部の85期生で同期は田村隆信、井口佳典、丸岡正典、森高一真に田口節子らがいる超エリート期。99年11月、住之江のデビュー節の第1走で初勝利。2001年2月、多摩川で初優勝。その後はGI、SG戦線でも大活躍。「太田和美の再来」と噂され“浪速の快速王子”と呼ばれた。05年12月の下関周年でGI初制覇。通算GI9勝にSG4勝。グラチャンは17、18、20回(戸田、芦屋、大村)と3Vを誇り相性抜群だ。