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ヤル気につながっているのは「別れた嫁の最後の言葉」
2011年11月01日 16時32分

 【白鳥幹太:ギャンブル裏街道】艇界で最も隆盛を誇る85期。その中にあって最もダメな男「銀河系最弱」田中健太郎(32=岡山)物語その3。
 デビューして5年。選手として全く芽が出ず廃業を覚悟し始めた時、思わぬ形で同県同期・田口節子の助けを受け「最後の悪あがき」をすることになった。その際、選手を続けるための努力以前に自分自身で誓ったことがある。
「人間として最低限のマナーを守ること」
 多くの人間に支えられレースを走らせてもらっていることを痛感した。「走りたくてももう走れない仲間がいることを忘れてはいけない」。レース中の事故で同期2人が殉職した。彼らの思いを考えると胸が熱くなった。
 プロになってから9期(4年半)連続して3点未満の成績しか残せなかった男が精進し、11期目に初めて自己最高勝率となる4・67の数字をマーク。レベ ル的には約1500人いる選手の中でも“下の中”ぐらいだが「努力すれば何とかなる」と実感できたことは大きな自信につながった。
「同期でも田村や井口なんかは自分とは全く違う天才。やつらは別格。でも、湯川は本栖の時は大したことなかった。いわゆる努力型。俺もそれを目指すことにした」
 デビューして12年。いまだに5点以上の勝率を残したことはない。
 昨年は離婚も経験し、人生の転機を迎えた。
「支えてほしかった時に自分のダメな部分を指摘されたのが悔しかった。“アンタはいつも最後には何とかなるさ、しか言わないけど、そんなことばかり言って何もしないじゃない”。別れた嫁さんに最後に言われたこの言葉が今の自分のやる気につながってるんですわ」
 今年10月。蒲郡で人生2回目の優勝戦進出を果たした。2号艇に同期出世頭の井口佳典、3号艇に池田浩二。この2人を差し置いて1号艇を獲得した。結果 的には井口にインを取られ、何もできず3着に終わったが、その1週間後の平和島ダービーの結果を見て不思議な思いがした。池田—井口。1週間前に一緒に 戦った男が、SGでワンツーを決めたのだ。
 32年の人生で「何とかなるさ」で何度ごまかしてきたことか。
「今は大嶋一也さんが相手だろうが、誰が来てもコースを譲らない気持ちで走っている。どこか劣等感を抱いているお客さんに、自分の走りを見てもらいたいですよね。弱くたって戦う姿勢を見せるんだってことをね」
 85期同期のSGウイナーとはまた違った人間味が、この男にはあふれている。

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