〝炎の戦士〟こと大谷晋二郎(47)率いる「ゼロワン」が存続の危機に立たされている。新型コロナウイルス禍の影響で3月に就任したばかりの新代表が離脱しただけでなく、主力の3選手が退団したことが分かった。7月5日に東京・新木場1stRINGで興行再開を控える団体に何が起こっているのか――。

 19年の歴史を持つゼロワンが窮地に陥っている。同団体の運営会社は3月1日付で「ドリームオンステージ」から「iFD(アイエフディー)」に変更となり、岩本和裕氏が新代表に就任。来年3月14日に東京・両国国技館で開催する「旗揚げ20周年大会」に向けて団体改革に着手する方針が示された。

 ところがコロナ禍により、3月23日の福岡大会を最後に興行の中止が続いた。もともと経営基盤がぜい弱だったこともあり、財務状況は急激に悪化。5月と6月に無観客のテレビマッチが1大会ずつ行われただけで、綱渡りの運営が続いた。関係者によると、4月には岩本氏から「私も苦しいので、皆さんも苦しいですがお願いします」と選手、スタッフに給与の8割カットが通達されたという。しかもその直後、岩本氏は団体から離れた。

 ここから負の連鎖は続いた。5月にはベテランの高岩竜一(47)が退団。今月に入り佐藤耕平(42)と日高郁人(47)も続いた。ゼロワン生え抜きの耕平は団体創設者の〝破壊王〟こと故橋本真也さんの最後の愛弟子で、団体の至宝である世界ヘビー級王座を6度戴冠した中心選手の一人だ。

 また1992年に新日本プロレスでデビューした高岩は2001年にゼロワンに移籍。08年12月に一度退団するも、17年3月に再入団し、道場ではコーチ役として後進育成に励んだ。ジュニアの日高はゼロワンだけでなくノア、みちのくプロレスでも王座を獲得。05年度の東京スポーツ新聞社制定「プロレス大賞」では藤田ミノルとのコンビで最優秀タッグ賞を受賞した実力者だ。団体側も功労者3人の意思を尊重し、退団を受け入れた。

 橋本さんが01年3月2日の両国大会で旗揚げしたゼロワンは、これまで何度も経営危機に見舞われながらも乗り越えてきた。だが残る主力選手は大谷と田中将斗(47)、そして火野裕士(35)だけとなり、過去最大の危機と言えるだろう。

 一方、別の関係者によると新たな親会社との交渉が進んでいるが、コロナ禍による社会情勢もあり予断を許さない状況だ。7月5日の新木場大会からは「第17回天下一ジュニア」が開催され、8月2日の東京・後楽園ホール大会で決勝戦を行うことが発表されている。存続かそれとも――。来年の20周年イヤーを前に大きな転換期を迎えた。