新日本プロレス23日大田区総合体育館大会の「G1クライマックス」Aブロック公式戦で、今大会の優勝が確実視されるグレート―O―カーンが矢野通(43)から後世に語り継がれるべき3勝目(不戦勝1を含む)を挙げた。

 初出場ながら一部で優勝候補筆頭と目されているオーカーンは初戦(18日、大阪)でタンガ・ロアに完勝。他の追随を許さない強さを誇示したため、今大会の優勝争いの議論は開幕早々に終了したとも噂されている。初戦で左ヒザを負傷した内藤哲也がドクターストップを受け入れ欠場を決断した背景には、同ブロックにエントリーしているオーカーンという絶対的存在に恐れをなしたからだと誰かが言っていたような気がする。

 春の「NEW JAPAN CUP」で不覚を喫した矢野への雪辱に燃えるオーカーンは、同戦で切るハメになった弁髪を手に登場。試合のゴングを待たずして襲撃を仕掛けていく。先手必勝こそが戦いの鉄則であり、怒りを見せることこそが新日本プロレス創始者の教え。温故知新を体現するオーカーンこそが現代のプロレスを象徴する存在であることを改めて知らしめるシーンだった。

 真っ向勝負では勝ち目のない矢野は場外鉄柵に手錠を用意してリングアウト勝ちを狙うが、偉大なる支配者の学習能力を侮ってはならない。オーカーンは逆に矢野を手錠で繋ぐと、用意されていた鍵の存在まで見抜いて没収。その聡明ぶりは諸葛亮に匹敵する天才軍師と言っても過言ではない気がする。

 何とか鉄柵を解体してリングに戻った矢野に猫だましからのNU(変形押さえ込み)で反撃を許すが是非もなし。押さえ込み攻勢をカウント2で返すと、10月9、10日の「ホロライブプロダクションフェスティバル」にて超人気VTuber大空スバルとのコラボTシャツ先行発売が決定し、帝国民とスバ友を歓喜の渦に巻き込んだ大空スバル式羊殺しで捕獲。そのまま威力絶大・一撃必殺・問答無用のエリミネーターで処してみせた。

 試合後の急所打ちという卑劣極まりない矢野の蛮行を受けるも、オーカーンの寛大さは北半球を駆け巡る。「イタチの最後っ屁か? 弱い貴様らしいな。だがな、まずはお礼を言わせてくれよ。貴様が切ってくれたおかげで、余の美しい弁髪がさらに美しくなったんだ。次はヒゲでも剃るか? やってあげさせてもいいぞ。余の専属のバーバーとしてな。もちろんタダ働きだがな」と御神託。「いい叛逆じゃねえか。臥薪嘗胆。過去もいらない。余の目には未来だけだ。貴様が持っているものはなんだ? いっぱいあったな、称号が。その中でも! より輝く称号があるよな? それを献上してもらうぞ」と、矢野の持つKOPWにも興味を示した。

 もちろんまずはG1制覇が最優先事項だ。連戦連勝のオーカーンにもはや死角は見当たらず、全盛時のフロイド・メイウェザー・ジュニアのように、圧倒的強者は無人の野を行く定めなのかもしれない。1996年大会の長州力、2006年大会の天山広吉に続く全勝優勝がもはや秒読み段階であり、その長州に続いて日本プロレス殿堂会が選出する殿堂入りを果たすことが確実になったと言っても過言ではない気がする。