新日本プロレス29日の明治神宮野球場大会で行われたIWGPヘビー&インターコンチネンタル2冠選手権は、挑戦者の内藤哲也(38)がEVILを撃破し、王座奪還に成功した。

 ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンを裏切りバレットクラブに電撃加入した暗黒王者とのリベンジマッチ。7月12日大阪城大会でベルトを奪われた内藤は、この日もBCの悪の連携に苦しんだ。レフェリー不在の間に、ディック東郷(51)の介入を許しマジックキラーを浴びる。さらにBCサイドには外道(51)も加わり絶体絶命だ。

 それでもBUSHI(37)とSANADA(32)が助太刀に現れBC勢を排除。再びEVILと1対1の場面が作り上げられる。デスティーノを金的で阻止されながらも、王者の必殺EVIL(変型大外刈り)をかわしてエスペランサを発射。強烈な張り手からバレンティアを決めると、ついにデスティーノをさく裂させて激闘に終止符を打った。

 世界を一変させた新型コロナウイルス感染拡大はプロレス界にも大きな影響を及ぼした。本来であれば新日本は8月下旬に米国ニューヨーク・マジソンスクエア・ガーデン大会を予定していたが延期に。その代わりに「密」を避けることができる屋外でのビッグマッチが浮上し、実に21年ぶりとなる神宮大会が実現した。

 そんな真夏の野外決戦のメインを締めくくったのは、当時高校生として21年前の大会をレフトスタンドで観戦していた内藤だった。「まだまだコロナの影響で我慢の日々が続きますが、その我慢の先に明るい未来が待っているので、スぺレエトス・フントス! 一緒に! 乗り越えていきましょう。今日は皆様と一緒に大合唱ができませんが、ぜひ心の中で一緒に叫んでください」と呼びかけると、代名詞の「デ・ハ・ポン!」を絶叫。真夏の夜空に花火があがり、神宮決戦は大団円で幕を閉じた。

 コロナ禍の影響で、21年前に4万8000人を集めた神宮球場の動員はこの日、ほぼ現在のイベント上限数である4710人にとどまった。「神宮で試合ができて気持ちよかった。ただ、もっと多くの皆様にスタンドを埋めてもらいたかった。いろんな困難なことがあるけど、きっとその先に明るい未来が待っているよ。そう信じて、俺はこれからもリングに立つから」。数々の挫折を乗り越えて業界の顔となった内藤が、苦難の時代に2本のベルトを持ってプロレス界を牽引する。