6日(日本時間7日)に米テキサス州ダラスで開幕する新日本プロレス「G1クライマックス」に臨むSANADA(31)が4日、異例の“茶道特訓”を敢行した。悲願のビッグタイトル獲得に向け、渡米直前に訪問したのは東京・新宿区の「遠州茶道宗家」。一流アスリートも多く訪れるという茶室で大きな収穫を得た。

 史上初めて米国で開幕戦を迎えるG1を目前に控えたSANADAが挑戦したのは、日本伝統文化である茶道の稽古だった。遠州流宗家、小堀宗翔さんの茶室を訪れ、約1時間にわたり一連の所作、礼儀作法を学んだ。

 ラクロス女子で日本代表の経験がある宗翔さんから茶道を学んだスポーツ選手は多い。ボクシングの前WBA世界ミドル級王者・村田諒太(33)をはじめ、競泳の入江陵介(29)や池江璃花子(19)らが体験に訪れ、昨年には柔道男子の井上康生監督(41)は日本代表のメンタルトレーニングとして取り入れた。

 宗翔さんは「精神集中する部分がすごく多いので、毎日、抹茶をたてたりすることで、自分自身の心が反映される。自分自身を見つめ直す時間をつくれることが大きいですね」とその効果を説明する。

 評判を聞きつけてSANADAが“弟子入り”した格好だが、奇遇にも宗翔さんは大のプロレスファンでもあった。「茶道は誰かのために(お茶を)たててあげるというのが大きな要素。自分と相手との間、駆け引きも茶道にはあります。プロレスや人を相手にする競技の人たちと、フィールドは違うけど同じなのかもしれません」と説得力ある親和性を説かれたSANADAは本紙に「今の先生の話、全部俺が言ったことにしておけ」と無理難題をのたまった。

 ともあれ効果を実感したことには変わりない。「全ての所作に意味があるという意味では自分のプロレス論に近いのかなと。G1前にいい経験ができました」と充実の表情を浮かべた。

 その後もプロレスと茶道について熱い談議を交わしていたが、宗翔さんがうっかり口を滑らせてしまい、SANADAと同じAブロックで出場するオカダ・カズチカ(31)のファンであることが発覚。結局最後はいつもの寡黙な男に逆戻りし、無表情のまま茶室を後にした。