11月15日に東京・両国国技館で引退試合を行うミスタープロレス、天龍源一郎が21日、W―1東京・後楽園ホール大会に参戦。これまで幾多の名勝負を残した同会場でのラストマッチを楽しむように、天龍は「魔界の住人」グレート・ムタ相手に狂乱ファイトを繰り広げた。


 天龍VSムタの初遭遇は1996年10月のWAR大阪大会。その後、2002年10月には全日本で3冠ベルトを賭けて対決し、当時の王者だった天龍はムタに王座を奪われている。


 そんな因縁の両者はこの日、最後の対戦となった。


 天龍は盟友・越中詩郎、王道マット最後の試合で一騎打ちを行った河野真幸とトリオを結成。ムタはNOSAWA論外、KAZMA SAKAMOTOを従えて6人タッグで激突した。


 両者先発を買って出ると、ムタが天龍に毒霧を吐いて威嚇する。天龍はグラウンドの攻防に引きずり込むが、ムタは場外にエスケープしてはのらりくらりと自分のペースを崩さず。天龍はペットボトルを投げつけ怒り心頭だ。


 8分過ぎに2度目の対峙。


 ここでもムタがかみみ付きにフラッシングエルボーとラフ&正攻法で優位に立つ。12分過ぎの遭遇ではムタが得意の閃光魔術をぶちかまし勝利を奪いにかかる。


 しかし天龍がこれをロープに逃げると、ムタは錯乱状態に。


 越中にイスを投げつけ、河野に毒霧を噴射。さらに天龍にも毒霧発射体勢に入る。


 だが天龍はこのタイミングを狙っていた。やおらムタの唇を奪うと口内から毒を吸い出し、ムタの顔面に〝逆噴射〟だ。ムタが悶絶する間に、越中がダイビングヒップでNOSAWAから3カウントを奪った。


 試合後、天龍はこの奇策に「昨日寝ないで考えた。河野に吹いたからもう残ってないかと思ったけど」としてやったり。さらに「武藤敬司の久しぶりのプロレスを味わわせてもらった。後楽園の雰囲気も良かった。この3人で組めたのも思い出深いね」としたたる汗をぬぐった。


 一方、すんでのところで勝ちを逃したムタは「グッバイ、テンルー。シーユー、魔界」と惜別メッセージを残し姿を消した。