緊急事態宣言が発令された日本以上に、新型コロナウイルス感染が広まっているとされるのが米国だ。現地はどんな状況なのか? 世界最大のプロレス団体WWEの養成機関「パフォーマンスセンター」でコーチを務め、現在はフロリダ州オーランドに居を構えるプロレスラーの“悪魔仮面”ケンドー・カシンが緊急リポートした。街は何とか冷静さを保つ一方で、コロナ禍のストレスからか“小さなトラブル”が頻発しているという。

 米国は3月13日に「国家非常事態宣言」を出したが、その後も新型コロナウイルスの感染者が増え続け、40万人を超えた(死者は約1万3000人)。感染が最も広がるニューヨーク市では、7日には1日の死亡者数が過去最多の806人となった。

 カシンの住む「エンターテインメントの街」オーランドも、ニューヨークに比べれば感染者数が少ないながら、日増しにその数が増えている状態だ。フロリダ州当局からは「外出禁止令」が出され、持ち帰りや宅配を除くレストランの営業が禁止されている。

 しかしカシンによれば「日本と同じでスーパーへの買い物とかでは外出していいので、そこまで人がいないという感じはないです。車も普通に走ってます。フロリダではハリケーンが来ると水が全くなくなるんですが、その時よりは全然豊富にありますね。マスクはほとんどありませんけど、この間、韓国系スーパーで1枚7ドル(約760円)で売ってました。自分の分は日本に一時帰った時に40枚入りを買ったりしたのがまだあります」。パニックには陥っていないといい「カートなどの備品を(大型スーパーの)『コストコ』が消毒し始めて、ほかも追従し始めた感じです。一時期トイレットペーパーとか強力粉が品薄になりましたけど、今はあります。東日本大震災と違って電気、ガス、水道のライフラインは整っているし、食料も手に入ります」。

 また車社会の米国らしい出来事として、現地テレビで連日「ドライブスルー検査」が報じられていることを挙げる。「病院で集まってやるよりも安全」との理由で、感染が疑われる人が車に乗ったままPCR検査を受けられるために、連日大行列ができているという。

 一方で今回の感染拡大について「米国では毎年インフルエンザで1万人以上亡くなっているのに、全く問題になっていなかった。これが今回の感染者数増加の根源になっていると思うんですよね」と分析。その上で「これを機にマスクと手洗いの文化が根づけばいいと思います。こちらはいまだに、人によって意識がすごく違う。手袋もマスクもしている人がいたと思えば、スーパーの店員が何もつけていなかったり、マスクして窓を全開で車を運転している人がいたり…。私の場合は“二重マスク”なので完璧です」と力説した。

 一方で、コロナ禍による社会的ストレスの影響からか、悪魔仮面が“小さなトラブル”と出くわすケースも増えている。7日の早朝5時前には同じアパートに住む女性が奇声を発して暴れ、窓を割るなどの騒ぎが発生。それを隣に住むラテン系の男性が注意したところ、やじ馬が集まり警察沙汰になった。最後は注意した男性が自身の妻と子供の前で逮捕される事態に…。奇声を発し窓を割った女性は姿を消しており「目の前で逮捕の瞬間を見ながら、密集、密着して警察も大変だなあ、って思いました」としみじみ話した。

 なぜか自動車事故もよく見られるという。まだ現在ほど感染が拡大していなかった数週間前の散歩中には、事故を起こした女性がぼうぜんとして、煙を上げる車から降りてこない状況に遭遇。慌てて周囲の人と協力して救出したところ、遅れて駆けつけた女性の夫から、「お前がぶつけたのか!」と激怒されたという。要は住民がイライラしている…ということなのだろう。

 カシンは「まあ、昔から“フロリダマン”っていう言葉があるくらいで、この辺の人たちは“アレ”なのが多いんです。車を運転しちゃいけないタイプの人間も多くて。曲がる時もみなさん、基本的にウインカー出さないんで」と説明した。

 最後に自身の現況を「今は事実上の週休7日。今週からビデオミーティングが始まったけど、暇でやることがない。同僚の家に行ったら『やることないし、ビールでも飲むか』ってなって、飲んでいるうちに日が暮れて、夜帰る…そんな日々です、はい。医療保険に入る前にこの状況になってしまったので、もし感染したら自動車保険で何とかするしかないんですよね」。世界がこの苦難を乗り越えることを祈りたい。