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シマフクロウ給餌禁止めぐり羅臼町VS環境省


 世界的希少種の鳥・シマフクロウへの給餌をめぐって、北海道・羅臼町と国が対立している。環境省の北海道地方環境事務所は9日に釧路で開かれた「シマフクロウ保護増殖検討会」で、同省が認めた保護増殖事業以外の給餌は禁止するよう指導する方針を示した。一方、シマフクロウを保護しながら観光資源にしている羅臼町観光協会は「きちっとした取り組みをしているのになぜ?」と困惑。野鳥愛好家の間でも議論を生んでいる。

 アイヌ語で「コタン・コロ・カムイ(集落を守る神)」と呼ばれるシマフクロウは、かつて人々にあがめられていた。北海道の一部とロシアの南東部の川にのみ生息し、体長70センチ、翼長180センチにも達するフクロウ類では世界最大にして非常に珍しい希少種だ。日本はもとより、世界中から年間数千人の野鳥愛好家がシマフクロウをひと目見ようと、羅臼町のとある民宿を訪れる。

 この民宿の前には小さな川が流れており、そこに給餌池を作ってイワナなどを放流。魚を主食とするシマフクロウはこの給餌池に魚がいることを認識しており、毎晩、魚を捕りにやってくる仕組みだ。こうした民間の給餌池は道内にいくつか点在し、地元の観光資源になっている。

 北海道地方環境事務所は、給餌禁止の方針に至った経緯をこう明かす。

「近年、世界自然遺産になっている知床半島で、観光客によるヒグマやキタキツネへの餌やりが厳しく禁じられているなか、なぜシマフクロウだけ給餌が許されるのかという問題提起があった。給餌は野生動物にとって不自然な状態であり、自然な状態に戻す必要がある。今後は民間の給餌に限らず、環境省の保護増殖事業による給餌も含めて徐々にやめていく方針」

 一方、シマフクロウを観光資源にしている羅臼町観光協会はこう反論する。

「給餌禁止の決定は、現場を訪れたことのない学者の意見でしょう。私たちは町を挙げてシマフクロウの保護に25年以上も取り組んできた。給餌禁止の理由に人慣れの心配とあるが、私たちは餌を日中に仕込んで観察小屋から見るようにルールを決めて、シマフクロウとの距離を取っている。また、ナチュラリストを常駐させて観光客にシマフクロウ保護や環境保護を啓蒙し、給餌も適切に行うなど、世界トップレベルの管理をしている」

 シマフクロウはさまざまな要因で繁殖成功率がほかの鳥類より低いとされ、1970~80年代には道内での個体数が約70羽まで減った。その後、民間や環境省などが給餌池を設置したことで約140羽に倍増。羅臼町の民宿でも過去25年以上の給餌で19羽のひなが巣立ったが、絶滅危惧種の指定を解除できていない。

 では、給餌をやめたらどうなるのか? ある国際バードウオッチングガイドがこう明かす。

「以前、羅臼の民宿が環境省の指導でカメラマンのフラッシュを禁止したとき、カメラマンたちは『写真が撮れない!』と羅臼周辺の川沿いの山に入って環境を荒らし、営巣するシマフクロウを刺激して繁殖を失敗させてしまった。再び同じことが起こるのは容易に想像がつく」

 欧米では保護する鳥に給餌し、見せる個体を作ることで、ほかの個体へのストレスを軽減して繁殖を促す活動を行っている場所もあるという。

「羅臼の民宿はまさにその典型だっただけに、なくなるとすれば、シマフクロウの保護どころか、最悪、絶滅へのカウントダウンになりかねない」と同ガイド。

 羅臼町観光協会は「カメラマンが山に入って生息地や営巣地を荒らすのを監視する方法では、イタチごっこになる」と、環境省の方針には納得していない。シマフクロウ保護のためには何が最良の策なのか、野鳥愛好家たちの間でも意見が分かれるところだ。

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