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報道カメラマンが見た「イスラム国の実態」
2015年01月30日 07時00分

2014年3月、ラッカの軍装品店で買い物をする外国人イスラム国戦闘員

 イスラム過激派「イスラム国」による戦場ジャーナリスト後藤健二さん(47)の殺害予告事件で、ヨルダンが拘束するイラク人のサジダ・リシャウィ死刑囚との交換期限が過ぎた日本時間29日朝、後藤さんと思われる肉声による、イスラム国側の新たなメッセージが明らかになった。日本時間29日深夜までに同死刑囚を解放しないと、拘束中のヨルダン人パイロットを殺害するという内容。世界の不安を募らせるイスラム国について、“首都”とするシリア北部のラッカに昨年潜入した報道カメラマン横田徹氏(43)がその実態を本紙に語った。

「一見すると、普通のイスラムの国と変わりはありません。人々はおびえて暮らしているわけでもないし、イスラム国が定めているイスラム教の厳格な戒律を守っている分には問題なく生活はできるでしょう」

 だが、街の中ではイスラム国の黒い旗が翻り、各所でマスク姿の兵士や、迷彩戦闘服姿の兵士による厳重な検問が行われている。やはり、ところどころは異様な雰囲気。「モノを盗んだ者は手首を切り落とす刑罰も科されている」と聞いた。

 食生活はどうか。「食堂や屋台ではケバブやファラフェル(中東名物のひよこ豆コロッケ)などが普通に売られ、おいしい。アラブ風の砂糖菓子なども人気です」。驚くことに、敵対しているはずの欧米の物品がトルコや他の周辺国経由で入り、流通しているという。

「チョコレートやペプシなども豊富にあります。イスラム国の兵士は月に50ドル(約5900円)が支給されているといいますが、衣食住が保障されていることもあり、給料のかなりの部分を“スイーツ”に使ってしまうと聞きました」

 通信手段は限られている。「市場などでスマートフォンやケータイは売ってますが、一般の人は通話もネットもできません。トルコ国境まで行けばトルコの電波を使えますが、イスラム国内では難しい。ただ、イスラム国の幹部はスラーヤというアラブ首長国連邦の通信衛星を使ったケータイを持っています」

 パラボラアンテナなどを備えた家も多く、シリアやイラク、トルコのテレビ放送を見られる。

「国際的に報じられているよりも、ラッカは普通の生活なので『何を大げさな』と思っている地元民もいるかもしれません。ラッカでは戦闘もなく、抑圧されているような印象も受けませんでした。恐怖による支配という感じではありません」。ただ、イスラム国の兵士や幹部たちは、警察や役所などに「顧問」として入り込み、これに忠誠を誓ったシリア人役人が行政サービスを行っている。

「今のところはうまく回ってるかもしれませんが、インフラの未整備による不満は大きい。停電が頻繁だから、ジェネレーター(自家発電装置)が欠かせません。私が泊まっていたイスラム国の基地ではジェネレーターが発火して、危うく火事になるところでした」

 ラッカは今や“超国際都市”で欧州をはじめ、世界各国から志願兵が集まって来ている。

「英語、フランス語、ロシア語…と様々な言語が飛び交い、通貨もシリアポンド、ユーロ、米ドルなどが入り乱れてます。私が会っただけでもシンガポール人やオーストラリア人、ロシア人などがいた。純粋にイスラム国に共感してやって来た人もいれば、戦闘狂のような人もいました」
 ラッカで暮らす男たちの問題はオンナだ。

「とにかく女性が少ない。話をすれば女、女、女で、彼らは『結婚したい』と口々に言います。売春施設は厳しい取り締まりの対象で、婚前交渉も禁じられた文化なので、セックスしたければ結婚するしかない。だから女性と強引に結婚する例も多い。身の危険を感じた女性はどんどんイスラム国から逃げていく。逆に世界中から志願兵の男たちが次々と流入してくる。だからラッカは男だらけの街なのです」

 イスラム国内部では危うい統治が行われている。

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