格闘技イベント「RIZIN」の榊原信行CEO(58)がRIZIN FFの公式ユーチューブチャンネルに動画を投稿し、昨年大みそかの試合でユーチューバーのシバターが久保優太に事前の申し合わせを打診した件について説明した。

 榊原CEOはまず、状況の説明がこのタイミングになったことを謝罪しつつ「冷静に両選手に時間をかけてヒアリングして。契約書に基づいて弁護士の先生とも話をし、10日間、いろんなことを精査しました」と話した。そして憶測が憶測を呼ぶ状況に「RIZINの6年の歴史で、天地天命に誓って八百長なんてものは一度もないです。命を懸けて約束してもいい。100%リアルファイト。リング上でファイターが流す血と汗と涙は100%リアルなものです」と、事前に勝敗を決めて試合を行ったことはないと力説した。

 その上で試合の検証結果を公開。まずシバターが試合前からRIZINに対し、体調不良などを理由に「試合やめたい」と訴え続けていたという。さらにシバターはこの〝泣き落とし〟な訴えを久保にも行い揺さぶりを仕掛けた。この連絡を受けた久保陣営からRIZINに「話を聞いたふりをして、試合を成立させて、やっつけちゃいますから。一気に手加減せずにやります」と連絡があったが、久保自身は前日計量の場などでも引き続き〝泣き落とし工作〟を受け続けたことで心が揺らいでしまったという。

 榊原CEOは「久保は自分で公表しているようにアスペルガー症候群で、人に嘘をつかれたりすることにめっぽう弱いというか、ピュアな人。それもあって『本当にシバターさんはケガするのを怖がっているのかな』と、ある意味まんまと術中にはまってリングに上がった」と指摘した。

 その結果、試合は久保がカーフキックなどは単発で放つものの後手に回る形になり、1R中盤にシバターのパンチがクリーンヒット。グラついた久保が持ち直そうと首相撲を仕掛けたところを飛び付き腕十字固めでシバターに仕留められた。まんまとシバターの陽動作戦に引っかかったわけだ。

 榊原CEOは「我々からすると、このシバターの取っている戦法…というか戦術は正直、品性下劣だしモラルハザードというか」と断罪。一方で「ルールのギリギリ、契約のギリギリを突く。勝つために手段を選ばず『汚い手を使いやがって』というのは今回のシバターの件だけじゃなくても、手法は違ってもありました」とも明かした。

 その上で「契約書の中に『事前に選手やセコンド、関係者が相手方の選手と試合の内容について直接話し合うことは絶対禁止をする』という条項を入れていきたいと思います」と明言。選手間や陣営同士のやりとりをSNS等に公開することを禁止、選手管理部門の組織改革なども行いたいとした。

 2人の処分については「久保は久保という人間性とファイターとしての尊厳といろんなものを持って大みそかに戦いました。シバターにすると、リングの中では100%リアルファイトで戦っているわけです。ここから学んで多くの是正する部分はあるけど、彼らを処分する考えは全くないです」とした。

 RIZINが見解を表明したことで、一段落となるか―。