参院選で当選したガーシー(東谷義和)氏(50)が連日、話題を振りまいている。登録者数126万人を誇った公式ユーチューブチャンネルが13日、閲覧できなくなり、ついにアカウント凍結かと騒動になれば、処女作となる著書が異例の予約数を記録し、不況にあえぐ出版業界は“ガーシー砲”の威力に度肝を抜かされている。

 この日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに滞在しているガーシー氏はインスタグラムに「メインチャンネル・サブチャンネルともにアカウントバンされました笑」と寄せ、すぐさまNHK党の立花孝志党首はユーチューブ動画を更新し「来るべき時が来た」と淡々と話した。

 今年2月にガーシー氏が開設したユーチューブチャンネルは「芸能界の裏側を暴露する」という趣旨で、人気ユーチューバーのヒカルをターゲットにしたのをきっかけに27年間、芸能界の裏側でタレントらをアテンドした裏話を披露。中には警察ざたやコンプライアンスに抵触する内容も多く含まれていたことで、「事実であっても名誉毀損でユーチューブをバンされるのは時間の問題」とささやかれ続けていた。

「影響力をつけたい」として対抗策の一つに取ったのが参院選の立候補。比例代表で約28万票をも集め、当選を果たしたが、その選挙戦さなかに複数の動画がプライバシー侵害でユーチューブ側から注意喚起された。

 ガーシー氏は2本の動画を残して、非公開の措置を取り、今後は生配信に切り替えていたが、11日にはメインチャンネルに関し、「ライブ配信などの操作が1週間できなくなります」と警告を受け、サブチャンネルからの配信を余儀なくされたが、翌12日に両チャンネルともアクセスできなくなった。

「バン(BAN)された」と怒り心頭だったガーシー氏はその後、一時停止の措置を取られた可能性が高いとあって、「アカウントバンされていない可能性も残っている。リサーチしています」と原因究明に当たっているが、ユーチューブでこれまで通りの発信は厳しい状況になったといえる。

 ユーチューブがバンされた場合も念頭に独自のサロンを立ち上げ、発信を続けていく構えで「今月中にサロンはできますので、そちらの方を回転させていくので万が一、バンされても大丈夫です」と想定内としたとはいえ、参院選で当選した直後のタイミングで泡を食ったことは間違いない。

 ツイッターも先月、凍結され、ネットでは包囲網が敷かれている中、異例の盛り上がりを見せているのが出版業界だ。8月2日に発売のガーシー氏の著書「死なばもろとも」(幻冬舎)の予約受け付けが参院選投開票日の翌日から始まり、連日アマゾンをはじめとした売れ筋ランキングで総合1位を独走し、13日には初版5万部が決定したのだ。

 書店関係者は「予約が殺到し、連続1位はあり得ない状況です。普通、5000部でもいいところですが、5万部は異例中の異例。それも売り切れる可能性があり、出版前に重版もあり得る事態です」と驚きを隠せない。

「令和のダークヒーロー。初の紙爆弾」のコピーが躍り、「ガーシーチャンネルを始めて、一つ大きな事実に気付いた。経済界、芸能界、政界、メディア。この4つの権力が密接に絡み合って女をモノのように扱い、カネですべてを握りつぶしている」とさらなる暴露をにおわせている。

 同書を手掛けた幻冬舎の編集者・箕輪厚介氏はこの日、ユーチューブのバン騒動に絡めて、「ガーシーがインターネットから排除されても本は出ます。死刑囚でも牢獄から本は出せる。本こそが最後の表現手段です」とツイートしている。

 ガーシー氏は先日、これまで3億5000万円抱えていた借金のうち、1億7000万円は既に返済したと明かしている。月5000万円近くとみられるユーチューブの収益を失えば、返済計画も暗礁に乗り上げるかと思いきや、参院選当選やバン騒動でさらなる話題を集める“時の人”に。

 今後、サロンや印税での収益が跳ね上がるのは必至で、“令和のダークヒーロー”は転んでもただでは起きないようだ。