【今週の秘蔵フォト】1960~70年代のスポ根ドラマ&アニメは今でも人気が衰えず、事あるごとに衛星放送で再放送されている。「あしたのジョー」「巨人の星」「タイガーマスク」などの名作に当時の坊主どもは興奮し、女子たちはバレーボールを舞台にしたアニメ「アタックNo.1」やドラマ「サインはV」に胸を躍らせた。

 東京五輪で「東洋の魔女」こと日本女子代表が、金メダルを獲得してからまだ5年。バレーボールブームは衰えておらず、69年10月にスタートした「サインはV」は「アタック――」と並んで爆発的な人気を呼んだ。

 主演の浅丘ユミは岡田可愛が演じ、孤児院育ちで骨肉腫を患う悲運のアタッカー、ジュン・サンダースを演じたのが范文雀。エキゾチックなルックスで一気に人気者となり「アテンションプリーズ」など様々なドラマ、映画で女優としての地位を確立した。

 それから6年後の76年8月29日付本紙では、28歳の心境を赤裸々に語っている。73年に寺尾聰と結婚、翌年には1年半の結婚生活にピリオドを打っている。「一緒になるのが縁なら、別れるのもまた縁じゃないかしら。結婚と離婚、後悔はしてませんし、いい経験をしました」と淡々と語った。

 ちょうど9月には400カット、オールモノクロの200ページにわたる写真集を発売する直前だった。「(写真集は)21歳のころから考えていたんですが、今が一番いい時だと思って。女としてある程度の年齢になったし…これ以上たつと老いるばかりですからね。ヌード? 見てのお楽しみ」と笑顔を見せた。

 以前には「年を取って醜い姿をさらすより、40歳くらいで死にたい」と語っていたが「今も多少は同じ気持ちですね。まだ目じりの小じわは気にならないけど」と潔い姿勢の言葉を口にした。

 本音ではなかっただろうが、范は98年に悪性リンパ腫を患い、2001年のドラマを最後に02年11月に心不全のため、54歳の若さで亡くなった。「サインはV」と同様の不運の訃報に、当時涙を流した方も多かったはずだ。