れいわ新選組の山本太郎代表(46)は衆院選(19日公示、31日投開票)で、比例東京ブロックからの立候補となった。名簿順位1位で国政復帰を図る道を選んだが、失ったのは日本でもっともわかりやすい「山本太郎」の4文字の名前だ。

 当初、山本氏は東京8区から立候補し、自民党の石原伸晃元幹事長へのリベンジ戦で話題を呼び、比例票を底上げする作戦を描いていた。ところが、立憲民主党とのボタンの掛け違いから撤退を余儀なくされ、公示のタイムリミットが迫る中で、野党共闘の和を乱さないために比例単独に追い込まれたともいえる。
 
 2017年の衆院選比例東京ブロックを参考にすれば、約61万票を得た共産党が2議席、次点の維新は約19万票で、ゼロ議席だった。1議席獲得の目安は約30万票とされる。山本氏は13年の参院選東京選挙区で当選した際、約66万票を得ており、ハードルは高くないように見えるが、立ちはだかるのは衆院選独自の投票方式だ。

 通常1枚目は小選挙区の候補者名を書き、2枚目の比例代表では政党名を書く。山本氏は2枚目の対象候補となるのだが、「山本太郎」の名前を書いた場合は無効票になってしまう。政党名の「れいわ新選組」や「れいわ」と書いてもらわないといけないのだ。

 これが参院選の比例代表の場合は候補者名でも政党名のどちらでも有効となるため、混同されやすい。

 山本氏の最大の武器は誰でも分かりやすく、子どもにもおぼえてもらえる「山本太郎」の名前といっても過言ではない。山本氏も痛感しており、生活の党に加入した際、「生活の党と山本太郎となかまたち」と自身の名前を盛り込んだのも選挙を見据えたものだった。

 2019年にれいわ新選組を結党し、参院選の比例代表では約220万票を得たが、内99万票は「山本太郎」の候補者名での得票だった。

 衆院選ではいくら山本太郎の名前をアピールしても政党名を書いてもらわないと意味がない。早速、山本氏は16日の街頭演説から衆院選の投票方法を取り上げ、「小選挙区は個人戦、比例代表は団体戦。団体戦での個人名記載は無効になる」と口を酸っぱくして、訴えた。

 自身の知名度が逆に投票時にはアダとなりかねず、〝脱・山本太郎〟できるかが国政復帰できるかのカギとなる。