実質的な借金が約8500億円に上り、10年以内に財政破綻する危機に直面している京都市が、250万円をかけて新たな広報用キャラクターを作成したと地元の京都新聞に報じられ、物議を醸している。伝統ある観光地の京都だけにキャラはあふれている。それなのに税金を投じて、新しいキャラを作ったからだ。コロナ禍で観光客が激減し、大打撃を受けている京都市民はどう思っているのか…。

 京都市は新キャラ「京乃つかさ」の制作を市内のデザイン会社に発注。17カットのイラスト代として250万円が投じられた。市にはすでに約140体のキャラが存在している。財政再建に取り組む自治体として“放漫”とも受け取られかねない税金の使い方に、ネット上では「危機意識がない」などと疑問の声があふれているが、市関係者によると、14日時点で苦情は数件程度だという。

 それにしても、140体のキャラクターとは、なかなかのものだ。伏見区の「吉兆くん」や西京区の「たけにょん」といった区ごとのキャラから、環境政策局の「こごみちゃん」、上下水道局の「澄都くんとひかりちゃん」のような部局にもキャラが存在する。

 市関係者は「140体すべてが250万円かかっていると思われている方もいらっしゃるようですが、無料で作ったものもありますし、5体で一つのキャンペーンのキャラだったりというのもあり、それぞれに目的がある」と説明するが、いまいちPRの意図が分からないキャラも。

 当の市民はどう思っているのか。京都有数の観光地・嵐山商店街の石川恵介副会長はこう憤る。

「ホンマ腹立ってます。予算使いきらなあかんから使ってる感がある。コスト意識とか工夫しようという気持ちが全く感じられない。ただでさえ、観光業はコロナに対する支援もない。財政が危ないと聞いて不安でしょうがないところに、こうしたムダな使い方をしてる」

 石川氏は嵐山を盛り上げるために制作されたゆるキャラ「月橋渡」の生みの親でもある。

「渡君を作った時も、お金がないから学生さんにお願いして知恵を絞ってもらった。行政もカネがないならカネがないで、やり方はある。そういう工夫や汗をかかずにやってたら、お金がなんぼあっても足りませんわ。そら、借金地獄になります。いっぺん締め直していただかんと」

 コロナ禍で観光業界が大打撃を受ける中でも、警察署と共同で交通安全のPRをしたり、「あらしやマナー」という感染予防対策の活動をしたりと、渡君が参加してできることをコツコツやってきただけに、「われわれは商店街のPRも手弁当でやってる。何が腹立つかと言うと、作ったはいいが、まったく活用しないからですよ。役所や部署ごとにゆるキャラあるでしょ? 渡君なんていろんなところに行って靴もすり減ってるし、ドロドロですよ。250万もくれたら、もっと効果的な仕事しますし、汗を流せへんのやったら、こっちに回してくれよと思う」と怒りは収まらなかった。